Neetel Inside 文芸新都
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「そうは言っていられないでしょ、
 どう考えたってスーシィは闇魔法に詳しいし……
 ほら、若返るなんて常識外れな魔法はどの文献にも載ってないんだからあれも闇魔法よ」

 その文献がどの程度のものかユウトは知らないが、
 確かに自分の時間を逆行させてしまうような呪文は闇魔法に他ならないだろう。
「でも、それとその石がどう関係するんだよ」
「闇魔法に詳しいってことは、錬金術にも詳しいものなの。
 この石がもしかしたら私の体にかかったスペルの何かに役立つかも知れないじゃない」

「なるほど、でもアリスでもその石の正体は調べられるんじゃないのか?」
「それが出来ないからスーシィを頼ろうとしているんでしょっ」
 ユウトはアリスに再び蹴られる。
「だから蹴るなって……」


 ――次の日。
「これは確か闇属性を含むエレメンタルね。
 色で解るし、しかも地中にあったのでしょう? 調べるまでもないわね」
 スーシィがアリスに石を返した。

「この石って何か特別に使えないのかしら、
 本にも載っていない石だもの結構レアアイテムなんじゃないの?」
「やめておきなさい。
 闇のエレメンタルなんか使ってもきちんと見識を持ったメイジでなければ痛い目を見るわ」

 アリスはスーシィを恨めしそうに睨む。

「スーシィは闇の属性について詳しいのかしら?」
「私は錬金術ができるから知ってるだけ、
 闇の魔法は使えないわ。
 いい? エレメンタルの使用用途って結構あるけど、
 その大きな役割の一つは同属性魔力の強化よ。

 杖にはめたりして、魔法を強くしたりとかね。
 でも、こういうのって意外とリスキーなのよ」

「何で? それこそ強くなるなら単純にエレメンタルをはめればいいじゃない」
「確かにその通りよ。
 けれど、メイジの持つ得意属性っていうのは一つに見えて、
 実は複数の属性の中からほんのわずかな僅差で一つの得意属性を有しているに過ぎないの」

 扉を叩く音がした。
「どうぞ」

「あ、アリスここだったか」
「入って、ユウト」  
 スーシィに招かれ、ユウトが部屋へと入ってきた。
「それで、何がそんなに危険なの」

       

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