Neetel Inside 文芸新都
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「もうやめる?」
「続けるわ、――……Nildolre!(石針)」
 アリスの杖は強く光り、足下から無数の砂が舞い上がる。
 それは杖の周囲で角のように集結した。
 角は鋭利に凝固すると迷わずスーシィの体に飛び込む。

 先ほどの魔法とは比較にならない、弾丸の如く速い。
 スーシィに詠唱する時間はないように思われた。
「――!」

 しかしその石は寸前で粉となって風に吹かれる。
「なんで……」
「今のは魔法解除(ディスペル)じゃないわよ。風魔法で粉砕しただけ」

 悠々としているスーシィは上げていた細腕を降ろした。

「もう解ったでしょ? その杖では誰がやっても簡単に防がれてしまうのよ」
「?」
「解らないっていうの?
 (シーナほど頭が良いのは異常なのね……)
 あなたの魔法は発動直前にエレメンタルから属性色が出ているのよ」

「そう言われればそうかもしれないけど、
 私の魔法を先読みしてそれをただ防ぐだけじゃ意味がないんじゃないの?」

 アリスは胸を張って言った。
「あのねえ……アリス、魔法が相手にバレてるっていうのは全く良いことではないのよ。
 さっきのはたまたま防ぐことだけしていたのであって――」

「いいわよ、いざとなったら手で隠しながら詠唱するし。
 やっぱり強い魔法で戦いたいわよ」

 スーシィは溜息をついた。アリスはうきうきとしている。
「いいわ、その杖はアリスにあげる」
「えっいらないわよ、エレメンタルだけ私の杖に移してちょうだい」

       

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