Neetel Inside 文芸新都
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「(ダブルワンド? セイラですら出来なかったあれか?)」
「(あの崖っぷちのアリスが成功させただってっ?)」
「静まりなさいっ!」

 マジョリアは一喝する。それに応えるようにクラスに沈黙が訪れた。
「よろしい。では、アリス。それを次の授業の初めに見せてもらいましょう」
「ええ、よろしいですよ」
 アリスは半ば茶化すように言った。

 マジョリアの顔が一瞬さっと染まったが、すぐに薄ら笑いを浮かべて言う。
「楽しみにしていますよ」
 マジョリアが踵を返すと同時に鐘が鳴る。
 クラスの悲痛な叫びが木霊した。


 がやがやと喧騒の鳴り止まない教室で、アリスの机の前に影が落ちる。
「本当は出来ないんでしょ、アリス」
 そう言ってきたのは先ほど使い魔のことで食ってかかってきたホオイェンという少女だった。

「何のこと? セイラ」
 どうやら呼称はセイラで通っているらしい。
 クラスの生徒たちの視線がアリスに集まる。

「ダブルワンド。つい出任せで言っちゃっただけだもんね?」
「…………」
 アリスは特に答えるふうでもなく、たださっと机から立ち上がってユウトを促した。

「何とか言ったらどうなの?」
「そこにいるシーナも出来るんじゃないかしら」
「えっ?」
 不意に出たアリスの言葉にセイラはシーナを見た。
 シーナはぼうっとユウトを見ていたのだが、突然話しを振られて目を白黒させる。
「そうなの? あなたも出来るの?」

「えっ?」
 アリスはいいチャンスだと思い、言い回しを変えることにした。
「そうよ、私は彼女から教わったんだもの。彼女は天才よ、百年に一度のメイジだと思うわ」
 そうよね、とアリスはシーナに視線を送った。
「よせよ、シーナが困ってるだろ」

       

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