Neetel Inside 文芸新都
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 セイラは眉をぴくりと動かした。
「待ってよ、それはどういう意味?
 あはは、アリスが落ちこぼれじゃないって? それを主張するの?」

「そうです、ユウトがいる以上アリスさんは落ちこぼれじゃありません!」
「いや、それはどうかと思うよ」
 ユウトはすかさずツッコミを入れるが、セイラは引き攣った顔を隠そうともせずに続ける。

「でも、万年成績最下位だった事実は変わらないわよ、何であんな子をかばい立てするの?」
 シーナは例のダンジョンでアリスが光りの魔法を使ったことを話した。

「まぁ、確かに光りの魔法は習得するまでに相当な精神力を必要とするわ。
 けど、火花はその中で最も下級にある魔法よ? 私は半日で覚えたわ」
 腕を組んで横目でシーナを見るセイラ。
 ユウトはアリスもどうかと思うが、このセイラという少女が何だか気に入らなくなってくる。

「そこまで言うならもういいです。
 でも、やると言った以上はやってからこの場を離れさせて貰いますっ」
「ダブルワンド? はっ、あなた初めてなんでしょう?
 わけがわからないけど、やりたいのならご自由にどうぞ」

 そう言ってセイラは自分の持っていた恐らくスペアの一本をマントから取りだしてシーナに渡した。
 ユウトの目から見ても、
 その杖がアリスやシーナのそれとは一線を画した品であることが見て取れる。

 それはシーナにも伝わったのだろう。
 シーナは明らかに対照的な杖を両手に持って詠唱を始めた。

「――hyeli isscula!」
 ばっと光ったのは片方だけだった。
「ふふ、それじゃ、その杖は出来たら上げてもいいわ。明日には返してね」
 そう言ってセイラは踵を返した。

 ユウトは茶化す生徒を尻目にシーナへ寄った。
「なあ、シーナ。意地になるのはよそう、ダブルワンドなんて俺だって見たことない」
「だめです、ここで引いたら女が廃ります。二言はないんです」
 裏庭だけあってか人の影は閑散としていて、
 シーナの気迫に居たたまれなくなった生徒たちも次々と去っていく。

       

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