Neetel Inside 文芸新都
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「はい……」
 嬉しそうなシーナの後ろからアリスたちが出てくる。
「ダブルワンドが出来ればエレメンタルに注意を引きつけておいて真逆の魔法をぶち込めるわ」
「だから何度も言うけど、敵だってただバカみたいに突っ立っているだけじゃないのよ?」

 何やら口論しているようだったが、共に教室へ向かう。
 廊下に生徒の数はなく、四人は段々と口数が減っていった。

「ちょっ――あんですって!」
 アリスは教室の中を見て愕然としていた。

 とっくにクエストは開始されており、またも受けられるクエストの数は数えるほどしかない。

「(元気でな、とか余裕こいてる場合じゃなかったのか……)」
 ユウトの悔恨をよそに閑散とした教室にて、クエストを確認する一同。


『ペベロチカの肉合成――10ポイント』
『ウォータースライムの狩猟――20ポイント』
『超遠征! ~一ヶ月は返って来られない~トゥカトゥールカの国境付近でキノコ採集――50ポイント』

「……なんなのよ、この最後のカスクエストは――」
「初期の250ポイントを取り逃したのが痛手ですね……」

「あれ、スーシィは?」
 ユウトはふと、スーシィがいないことに気づく。
「どうせ、大人の余裕ってやつでしょ。
 それより、私たち本当にこのままじゃ進級できないわよ」
「アリスさん、こっちにもう一つクエストが」

 廊下側の隅からシーナが呼びかける。
 そこだけ死角になっているのが実に怪しい。
「え?」
 今まさに『超遠征』を選ぼうとしていたアリスに待ったが掛けられて、ユウトはほっと胸をなで下ろした。

『ハルバト退治――100ポイント』
 アリスはぱっと目を輝かせる。反対にシーナは落胆した。
「これよ! これでいくわっ!」

       

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