Neetel Inside 文芸新都
表紙

見開き   最大化      


「ちょちょ、ちょっと待った!」
 ユウトは慌ててアリスを止めに入る。
「ハルバトって何だか解ってるのか?
 中級モンスターのさらに上、ハンターと同レベルの肉食モンスターだぞ、
 しかも魔法も使ってくるんだぞ?」

「そんなの知ってるわよ」
「まてまて、じゃあ何で」
「私たちは高いポイントのクエストを受けていかないと進級試験の終わりまでに500ポイントが間に合わないからよ。
 当たり前でしょ」

 後何回クエストを受けられると思ってるの? と逆に叱られる始末だった。
「あのな、それで怪我でもしたら今回のクエストでポイントを貰っても、
 次のクエストを受けられないかもしれないだろ」
「うっさいわね、じゃあ超遠征にするわよ」
 一同はそこで無言になる。


「おいおい、何だ。まだ誰かいたのか」
 優雅な声が響く。
 現れたのは、金髪をさらりと流した美男子だった。
 カインよりさらに自己陶酔したような鼻持ちならない感じを漂わせる。
「げ……」
 アリスはあからさまにそいつを見て尻込みした。

「おや、アリスじゃないか」
「その後ろにいるのは――ああ、頭の良い使い魔とシーナだね」
「こ、こんにちは」
「…………」
 整った歩きでこちらへとやって来た。
 徐々にその整った面持ちがはっきりとしてくる。

 シーナは金持ちが苦手なのか、両手を胸元で結んで萎縮しているが、
 アリスは反対に威嚇するように構えていた。
「ランス。珍しいのね、一人でいるなんて」
「おいおい、冗談はよしてくれ。僕だってクエストを受ける時くらい一人に決まってるじゃないか」

 そういうとランスは顎に手を当ててクエストの一覧を眺める。
 形の良い眉は目蓋の上にすらりと直線を描いた男らしいものだ。
 目尻はしっかりし高貴な瞳を思わせ、整った鼻筋は高く、唇とよくバランスがとれていた。

 その考え込む姿はなかなかに優美でヒロイック。
 特に淡い金髪は人形のようにしなやかで、ユウトですらランスというこの男がイケていると思える。

       

表紙
Tweet

Neetsha