Neetel Inside 文芸新都
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「ふむ、良いクエストは残っていないようだね……おや、このクエストはなかなか良いようだ」
 するとその目先には先ほど揉めたクエストが書かれていた。

「だめよ、それは私たちが今から受けようとしているクエストなんだから」
 アリスは背中にそう言うと、彼は立ち上がってやれやれと肩を竦ませてみせる。

「なんだい、君たちこのハルバトを倒そうと本気で考えていたのかい?」
 ランスはただカマをかけただけらしい。アリスはうまく乗ってしまったことに後悔した。
「だ、だったらなんだっていうのよ」

「……、…………」「――っ、――――!」

 当然のごとく、アリスの性格からランスと口論のようになる。
 ユウトは何処か安心したような気持ちが不可解だった。

「ユウト……」
 シーナが暇となったユウトのそばにやってくる。
「どうしたのさ」
 何か怯えたようなシーナにユウトは少なからず可愛いと思ってしまう。

「ハルバトは中級クラスのモンスターなんでしょう?
 危ないと思うんです……もし、アリスさんが本気で今のクエストを受けようとしたら……」
「そうだな、でもまだ行くと決まったわけじゃ――」
「そうです……でも、アリスさんの様子を見てると、何というか――」
 二人はそのやりとりを見守った。


「――そこまで言うなら行ってやろうじゃない!」
「はぁ……、どうして君はそう短絡的なんだ」
 二人は話しの決着がついたのか、魔法陣へ乗る。

「そっちにいる君、早く来ないか」
「え? 行くのかよっ」
 あまりの急展開について行けず、ユウトはシーナの手を引いて走り出した。
 しかし、アリスは後ろにユウトがいたままだとでも思っているのか、
 そばにいた先生にお願いしますとか言っている。

「――おい、まてっ!」
「ゆ、ユウトっ、速い!」
 シーナが転びそうになったところで、ユウトは走るのを躊躇った。
 アリスは最後の一瞬だけ魔法陣から離れたユウトと目がかち合った。

 その時、目の前にぶわっと閃光が起こり、アリスとランスの姿がかき消える。
 そうして、静まりかえった教室にシーナとユウトだけが取り残されるのだった。

       

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