「――何故です?」
「私は使い魔を強くする為、訓練所に送りふるいにかけたんです。
それの何処が規則に抵触するのでしょうか」
食い下がるアリスにロジャーは真摯に放った。
「ミス・レジスタル。我が校の第三校則を復唱してみなさい」
臆面もなくアリスは答える。
「一、メイジは常に正々堂々と」
「二、メイジは命を軽んじてはならない」
「三、メイジは如何なる時も誇り高くあれ」
つまり、とロジャーは続ける。
「あなたは使い魔に対して、正々堂々向き合い、命を尊重し、
メイジとしての誇りをもってして接したかということです」
「そんな……私は――」
「お黙りなさい。
理解出来ていないようですからお話ししますが、
書類全てにサインしろとは誰も言ってはいないのです。
内容も確認せずに全てにサインしたあなたは、
『最初から使い魔に対する何の尊重もなかった』
ということも言えるのです。
ミス・レジスタル、これは教職員会議に持ち込ませて頂きますよ」
ロジャーは狼狽えるアリスを尻目に
壁に金色の文字を書くと炎を放って消えた。
アリスは膝をつき、小さな嗚咽を漏らした。