一同は目を丸くした。
この名誉あるフラメィン魔法学園で退学者など、一度も出たことがないからだ。
「お、お言葉を返すようですが、学園長。
それはあまりにも早急なご判断では」
「否」
すると、大気が熱を帯び、メイジ達に重くのしかかる。
『――――ッ』
「彼の者は使い魔をイスムナの極地に送りおきながら、
何も認知しておらぬと言うではないか。
それはメイジとしてあるまじき愚行。あってはならぬ存外である――」
老人は静かにそういうと、椅子を立った。
「ど、何処に行かれるのですか?」
メイジの一人が尋ねる。
「彼の者の使い魔、少し興味があるでな。久々にきな臭いのじゃ」
誰も止めることなど敵わなかった。
彼の纏うマナはもはや一切の物を蒸発たらしめるであろう歓喜の炎に燃えていた。
石壁に老人のそれとは思えないほどしなやかな手つきでスペルを連ねると瞬く間に消え去った。
残された者達は皆、大きな溜め息をついた瞬間だった。