Neetel Inside 文芸新都
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 アリスは一人、学園の湖(サロマン)に来ていた。
 きっと自分にはとてつもない懲罰が待っている。

 メイジとして生きていくことはもう敵わないかもしれない。
 そんな思いに急き立てられるとアリスは目先から熱いものを止めどなく感じるのだった。

「これじゃ……負け犬よ」
 震える声で自嘲するように言った。

 確かにメイジとして使い魔に対する態度では無かった。

 反省はしているが、
 アリスの目的にとって使い魔に時間を割くわけにはいかなかった。

 どうしてあんな子供を召還してしまったのか、何て謝ればいいんだろう。


 アリスの頭の中で五年前が思い出される。

 他の子たちが召還した使い魔も皆、子供じゃなかっただろうか?

 きっと怒ってる。
 

 アリスは実際、何度もユウトを迎えに行こうと思った。
 しかし、一度サインしてしまった書類を次から次へと取り消し申請していくのは容易ではなかった。

 事実、一枚の移籍許可を取り下げるのに数週間から一ヶ月はかかった。
 誰々の使い魔が勝った、負けた。そんなこと、アリスは微塵も興味が無かった。

 ただ、気づけば自分の使い魔は手の届かない所にいて、
 ついには何処にいるかわからなくなっていた。

 それでもアリスは誰かに頼ろうとはしなかった。いや、頼れなかった。
 使い魔を管理できないメイジなど、存在しない。あり得ないからだ。


 もうすぐ使い魔を含めた進級試験があるアリスは、いささかの瑕瑾(かきん)も見せられなかった。
 それが明るみに出た今、アリスはもうメイジとして崖っぷちだった。



       

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