Neetel Inside 文芸新都
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「――ミス・レジスタル」

 その声がアリスに届くには幾分かの時間を要したようだった。

 振り返ると、白いマントに白い布で覆われた杖。そして白髪の髪。
 見紛うことなく最強クラスのメイジがそこにいた。

「学園長……先生」


「ふむ、どうやら間違いないようだの」

 杖を持たない左手で髭を撫でつつ、空を一度仰ぎマントを正す。

「ミス・レジスタルの懲罰が決定した」
「はい」

 アリスは震える手で拳を握りしめた。



「――退学じゃ」

 ああ、やっぱりか。
 私はダメだった。結局、肝心な所で冷静さを欠いてこの結末なのだ。


「じゃが、一つ提案がある」


 老人が言葉を紡いだことにアリスは驚いた。

「お主の使い魔は大変優秀だそうじゃ、それをお主が再びコントラクト(契約)し、
 取り戻すことが出来たのならメイジとして再び学園へ招き入れよう」

 名誉挽回のチャンス。アリスは跼蹐することなく首を縦に振った。

       

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