「――ッ」
アリスは急に辱めを受けた気分になった。
「主は使い魔の在り所がわかると思うておるようじゃが、使い魔はとっくにイスムナを立っておる。
もとい、主がその方角が分かっているとて、到底困難が付きまとう。その荷物のようにな」
アリスは自身がなんと愚かで浅ましいかを痛感した。
この先は戦闘も管領とのもめ事もあるかもしれない。
そんなとき、メイジたる力にさしたる自信もないアリスが、
無事に目的地まで辿り着けるかどうかというのは別問題であった。
アリスは手提げ袋から貨幣と身の回りの品だけを取ると、
風呂敷にまとめて担ぎ直した。
「あ、あの、改めてよろしくお願いします」
「ふむ」
よしなにと二人は歩き始めた。