Neetel Inside 文芸新都
表紙

見開き   最大化      


「――ッ」
 アリスは急に辱めを受けた気分になった。

「主は使い魔の在り所がわかると思うておるようじゃが、使い魔はとっくにイスムナを立っておる。
 もとい、主がその方角が分かっているとて、到底困難が付きまとう。その荷物のようにな」


 アリスは自身がなんと愚かで浅ましいかを痛感した。
 この先は戦闘も管領とのもめ事もあるかもしれない。

 そんなとき、メイジたる力にさしたる自信もないアリスが、
 無事に目的地まで辿り着けるかどうかというのは別問題であった。

 アリスは手提げ袋から貨幣と身の回りの品だけを取ると、
 風呂敷にまとめて担ぎ直した。


「あ、あの、改めてよろしくお願いします」
「ふむ」

 よしなにと二人は歩き始めた。



       

表紙
Tweet

Neetsha