Neetel Inside 文芸新都
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「はっはっはっ、いやしかし、若いな。何処までだっけ?」

「ジャポルという国です」

「おいおい、二十キルメイルは先だな」
「それ、さっきも言いました」

 がははは、と笑談する一同は酒に酔っていた。


「飲み過ぎですよ。フレッドさん」

 言葉で制する間も尚も飲み続ける隊長は笑いながら言った。

「お前ら、腕立つのか? 見たとこ、メイジと使い魔じゃねえか」
「はあ――まぁ、俺は使い魔だけど……」

 ほとんどフリーの使い魔が使い魔と言えるのかどうか、釈然としなかった。

「そっちのお嬢ちゃんは違うのかい?」
「私は水の魔法なら、下級メイジ程度に扱えます」
「み、水ぅ?」

 遊牧民にとって水は貴重だ。

 メイジは生成する意、メイクから来ている。
 水を生成するメイジは数少なく、ある民族は神聖視し、神同然に崇めているほどだ。


「そらあ、たまげた。いや、たまげたぞ。嬢ちゃん!」

 そうか、そうかとフレッドは頷くと手を叩き腰を上げた。


「―みんな、良く聞け。
 ここにおられるのは水のメイジならず水の女神様だ。
 我らにとって水とは何だ? 命だ。

 今日はこの美しい水の女神に杯を交わすぞ!」


 俺への評価は、……ナシか。
 ユウトは一人小さくなって肉を口に運んだ。その腕がずいっと持ち上げられる。

「おめえも踊れ」
 使い魔だろう。という言葉に何か違和感があったが、
 シーナの使い魔なら何の不満もない。

 シーナも笑って促すので振り付けもめちゃくちゃのまんま踊り出した。


「いいぞ、若造。うめえぞ」

 適当で良かったみたいだ。

 何処から持ち出したのかティンパニーのような楽器やらなんやらでどんちゃん騒ぎになっていく。
 こうして二人の夜はふけていった。


       

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