「シーナ、絶対迷子にならないようにしないと――」
「ユウト! こっちよ!」
魔法仕掛けのパラフィンが空中に広告を書き出しては消えていく。
シーナはそれを掴むように手を伸ばしてはしゃいでいる。
「触っちゃだめだ!」ユウトは慌ててシーナを掴まえる。
「え? どうして?」
「それは魔法仕掛けになっていて、
触ると商品と指紋つきの請求書がその場で送られてくるんだよ」
「そうなんですか?
ユウトは何でも知っているんですね」
シーナは目を輝かせていたが、ユウトがここに来るのは初めてではない。
くす、とシーナは顔を綻ばせた。
「な、なに」
「いいえ、何でもありません。
私は一人だと危ないみたいですし、ユウトにエスコートをお願いします」
「それがいいよ」
シーナがそっとユウトの手を握ったに一瞬驚いたが、
その方が安心するのでそのまま行くことにした。