「ご利用ですか?」
中へ入ると外套を纏った若い男女を怪訝に思ったのか、
女性銀行員の一人がおそるおそる話しかける。
「はい、お金を預けようと思って」
「おいくらでしょうか?」
くすりと笑って、今度は打って変わって馬鹿にしたような表情で問いかける。
「いくらかはわからないんです」
そういいつつユウトは札束の入った袋を外套の中から取りだす。
――どん。
そんな音が聞こえたようだった。
見窄らしい若い男女が大金を持っているとは思っていなかったのか、
他の銀行員たちが思わず振り返った瞬間だった。
「こ、これは……」
恐る恐る中身を見ると女性銀行員はあからさまに態度を変えた。
「大変、失礼いたしました。すぐにお預かりの手続きを致します」
――。
ユウトが稼いだ金額は相当なものに違いなかった。