「お預かり金は九千とんで六十八万ゴールドです。
口座をお作りしますのでお名前と指紋をこちらにお願いします。
一度しか適用されませんのでお気をつけ下さい」
恐らくは特別に用意されたであろう虹色に輝く板に、
ユウトはシーナの手を取ってそこに重ねる。
「――え」
咄嗟のことで何の抵抗もなくシーナの手はそこにのった。
ユウトは続けてシーナの名前をそこに綴った。
「ご利用ありがとうございました」
「ユウト――」
シーナは困ったような表情でユウトを見るが、
ユウトは意に介した様子はなく、シーナを連れてその場を後にする。
「ごめん、シーナ」
外に出ると頭を下げてユウトは言った。
「どうして――あれはユウトのお金でしょう?」
「だめなんだ……。使い魔はあんなにお金を持たないものだから」
シーナはお金なんかより、
ユウトとの別れが間近に感じられて居心地が悪かった。
「それで、私を連れてきたの?」