「違うよ」
ユウトはきっぱりと言った。
シーナもそんなことが言いたいわけじゃなかった。
「シーナを連れてきたのはこんなことをするためじゃない、
その、俺とシーナは家族みたいなものじゃないか。
でも俺はもうすぐ……だから、シーナにあのお金を役立ててほしくて――」
口を噤む(つぐむ)。ユウトの目先にはシーナの歪んだ顔が一瞬見えたから。
「ね、時間、まだ残ってる?」
「うん……多分」
シーナは微笑みながら踵を返した。
「はい、じゃあ、いきましょう」
腕を組まれてユウトは強引に一歩を強いられる。
「行くってどこへ――?」
「遊びに決まってる!」
ずんずんと雑踏の中へ近づいていく二人。
そっか、最期まで笑っていたいよな。
ユウトは微笑みながらそんなことを思った。