サーカスのような物見劇をする人たちにシーナは目を奪われていた。
「あれはフライの魔法で浮いているんですか、ユウト」
「フライの魔法だね。でも普通はあそこまで精密な動きをしながら浮くのは至難の業だと思うよ」
空中に固定魔法を掛けたガラス玉の上を跳ねる劇の一人は、
その上をぴょんぴょんと軽快に跳ねるように演舞する。
剣やナイフを空中で回転させながらアクションはヒートアップし、
最後はガラス玉のスリットに投げた剣を狂い無く収めると観衆から歓声が沸き起こる。
「すごいわ」
なりやまない拍手に混ざり、
シーナも手を叩いていると観客から包みが投げ込まれる。
「みんなは何を投げているの、ユウト」
「劇がおもしろかったらああやってお金を包んで投げるんだ」
へえとシーナは関心した様子で頷いた。