――。
雑踏の中は夕刻になっても賑わいに衰えはなく、
腕を放さないシーナを傍らにユウトはとある露店にいた。
露店の棚に置いてあるペンダントを指さしてシーナが言う。
「ねえ、ユウト。あれ似合うと思う?」
六芒星をモチーフにしたペンダント。
中央にあるのはサファールが、
シーナの蒼い髪とミントの瞳によく似合うと思った。
「うん、似合うと思う」
その会話を聞いた露店の男が愛想よく会釈する。
「いらっしゃい。ペンダントがご所望かい?
残念だけど普通に買ったら城が買える値うちがするから売りもんじゃない。
ほしいならこれ、腕相撲対決で勝負だよ」
――胡散臭さ抜群だった。
「腕ずもう?」
「なんだ、知らないのかいお嬢ちゃん。
こちらの大男、ビッグマンを相手に腕を組んで押し倒した方の勝利さ。
勝てば景品はほれ、
あの稀少宝石サファールを埋め込んだペンダントがもらえるってわけだ」