店の奥から現れたのはまさに大男、
ユウトの身長の軽く一点五倍はあった。
「最初は掛け金タダ。次から十ゴールドだよ。どうだい、やってみるかい?」
ユウトはおかしくなって笑い出しそうだった。
――無理に決まってる。
「はい、やります」
「――! シーナ?」
「おいおいおい、お嬢ちゃんがまさか相手じゃないだろう?
そっちの彼氏だよな」
俺のことか!
ユウトは自分の二の腕の五本分はゆうに超える大男の腕を見て不可能を再確認した。
「「ふ、――はっはっはっは」」
男も大男も大笑いした。そこできりっと真面目な顔になる。
「言っておくが、魔法は禁止だからな」
そういって店の看板に立てかけてある板をばんばんと叩く。
「(シーナ。悪いけど俺は力自慢じゃないよ。どう見たって――)」
「そっちの追加ルールを適用させてもらいます」
シーナの指さす先には『百ゴールド追加で持ち込み道具もあり』となっている。
「ははは、流石嬢ちゃん目の付け所が違う。
言っておくけどこれは負けたら百ゴールド支払ってもらうルールだよ。
払えないと、どうなるか――わかるよな。
で、どんな道具を使うんだい? 何ならうちで貸し出しもしてあるがね」
男の目が光るのをみて、ユウトはなるほどと思った。