Neetel Inside 文芸新都
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 アリスがそう言うと再び周りはどっと笑い出す。
 すぐに涙目で辺りを睥睨(へいげい)するが、全く覇気はなく笑いは止まらない。

「あによっ!」

 何故か悠人までが睨まれ、嫌な予感がすると思った。


 「(逃げよう……)」、ユウトの頭にそんな言葉がふと浮かんだ。

 しかし、あたりは草原。

 近くに石でできたようなお城があるが、どう考えてもこの人達のアジトだった。


 悠人は本当にわけがわからなくなり、涙が出てきた。

「これは伝統だよ。ミス・レギステル。例外は認められない」

 中年のおじさんは悠人を杖で指した。

「そんな……」
 アリスはもはや半泣き顔でしゃくりをあげて肩を落とした。


「さて、それでは儀式を済ませた者から使い魔に修練が必要だと思う者はこの紙に署名し、
 別棟にて説明を受けなさい。以上」

 アリスは悠人の顔を困ったようにしばらく見つめた。
 なんだなんだ。夢……だよね?

「ねえ」
 アリスは悠人に
「ユウト――、だったっけ」

「うん」
「まぁ、苦しまないで死ねるようにね」

       

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