シーナが勝ち誇ったように言うと、
いつの間にか集まっていた野次馬たちが声を上げた。
「素晴らしい!」
「なかなか男前だったぞ!」
観衆たちはこの男たちのあくどい様を知っているのか、
高々と歓声を飛び交わせる。
男は悔しそうな顔になった後、大男に近づく。
「――な、この馬鹿野郎! 気絶してんじゃねえ」
大男はユウトの大剣が振るわれる寸前に気絶したようだった。
本当に倒していたら大変だったので助かりものだとユウトは思った。
男が大男を叩き起こす。
「ふん、持って行きな」
男と大男は店じまいもせずにペンダントを入れた箱を投げ置き、
逃げるように去っていった。