Neetel Inside 文芸新都
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 ――どん。

「――きゃっ」
「おい止まるんじゃねえ!」


 アリスにとってジャポルは一度訪れたとはいえ、
 その頃は父や母に抱えられていたような頃だった。

 どう進んでいいかわからないほどの雑踏、沢山の人の出入りがある国。
 果たしてこの中でユウトを見つけられるのだろうか。

「とりあえず、使い魔を探る魔法ね……」

 しかし、召還してから今まで使い魔を使役したことなどないアリスにとってそれは初めて使用するスペルであった。

「上手くいくかしら」

 アリスは杖を肩肘の高さに上げて目を瞑る。


『(契約証明――)Luqal coded a.registal.eliss.bell sxthmellda――』

 だが、それも束の間、不意に背中が押されて前のめりになる。

「――あっ」

 不意に手の力が抜けてしまい、アリスの指から杖が転がり落ちた。

 折り悪しく、人集りがアリスの周りを通りかかり、
 わずかな光を漏らした杖は幾重にも人の靴に蹴り飛ばされ、
 屈むとアリスも蹴り飛ばされそうになる。

「そ、そんな――」

       

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