4の使い魔たち
疑惑の再契約
ひんやりとした空気に気づくと頭痛が走った。
咄嗟にあの耄碌(もうろく)園長が何かしでかしたものと勘違いしてアリスは叫んだ。
「いい加減に――」
そこで身体を起こそうとしても手足が言うことを利かなくなっているのを知った。
「お目覚め?」
見ると腹から腕にロープがかかっており、
自分の脚は椅子と固定されていることに気づく。
見渡すと大人十人もはいれば息苦しくなるような薄暗い部屋の奥に
赤いランタンの光とその隣で微笑する女の姿があった。
フードを被りマントを羽織った一人の女。
恐らくアリスよりもかなり年上だろう。
妖艶な笑みを浮かべ、しなやかな手つきでアリスの髪の上を撫でる。
「――あ、あによ」
「ふふ、髪を撫でられるのが好きなのね。アリスは」
「――ッ」
噛みついてやろうと思ったがそれはアリスには叶わなかった。
何故か会ったこともないこの女はアリスの自分を知っている。
素性を調べられているんだとアリスは戦慄した。
――ランタンの炎がゆらりと波うった。