Neetel Inside 文芸新都
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 チッと舌打ちをするアリスは平静に答えた。

「ごきげんよう、カイン。あなたから話しかけてくるなんて珍しいこともあるのね」

 カインと呼ばれたその少年は胸から水色のブローチ、
 金色マントに白い服とギラギラしたズボンでいかにもお金持ちな着飾りと風貌で佇んでいた。

「君は人間を召還したんだってね。おめでとう。
 話の分かる使い魔だと頭脳戦は有利になる。
 まぁ、もっとも、使う頭があ・れ・ばの話しだがね」

 アリスは苛立つような声でいった。

「それはどうもご丁寧にありがとう。
 それであなたは一体何がしたくて私に話しかけたのかしら」

 カインは意に介さない様子で、

「僕も人型の使い魔を召還したのさ。アリス」
 アリスは驚いた表情を隠せず、口を開けた。

「ふふ、いいね、その顔。ま、いずれ近いうちに見ることになるだろう。
 だが、僕の使い魔ははっきり言ってそこの弱小生物よりは数千倍強いから、
 あまり自慢しないでおくことにするよ」

 クク、と笑いカインは背を向けて歩き出した。
 その時、悠人の手先が突然熱くなった。

「痛い! イタイイタイ、何か痛いよ!」

 アリスが立腹したように言った。

「使い魔としての特殊ルーンが刻まれてるだけよ。すぐ終わるわ」
「刻まれる?」

 悠人は狼狽した。指先から全身が痛い!

「あのね?」
「なに!」

「使い魔がそんな口聞いていいと思ってるの?」

       

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