Neetel Inside 文芸新都
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「首を切るだけですぐだわ。
 アリス。私はね、あなたと違って、ほしいものは何が何でも手に入れる主義なの」

 マントの内側からランタンの光に反射する得物を取り出し、
 女はアリスの後ろへ回り込む。

「そして後(返り血)も残さない」

 そう言って女が鋭利な鋼鉄を構えた瞬間だった。

『っ、(レオレジル!!)preo rezill !! 』

「はっ――何」

 突如、地面に転がる杖に向かってアリスは詠唱し、
 部屋は閃光に包まれ爆風が起こった。

「きゃあっ――」

 風圧に巻き込まれ、二人は狭い部屋の中で身をしたたかに打ち付ける。

 
 杖にでたらめなマナを流して適当な詠唱をしたアリスは、
 不格好にも椅子に縛り付けられたまま後方へ吹き飛び、

 魔法になりきれなかったマナが体内を逆流して神経や筋肉を浸食していく。


 現に椅子に縛り付けられたままだった小柄なアリスの体は、
 ぶちぶちと音を立てていた。


       

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