「つ――、やったか」
「ユウト、はやく逃げて……」
ユウトはアリスに刻まれたルーンによって、
自由を取り戻したと同時にマナを使い果たして崩れるアリスを抱えた。
「な――、ふざけ……何のためにお前たちをここへ呼んだと――ユウト!」
女はついに逆上したのか、こんな街中で大魔法を詠唱し始めた。
もちろん、そんなことは正規のジャポル警備官である六芒星の団員たちが黙ってはいない。
街の中で最も高い白い塔から警音がなる。
「何処かで会ったような気もするけど……悪いな」
ユウトはアリスを抱えて文字通り疾風のごとくその場を後にした。
「ま、待って! くっ、お前たち!」
女は完全に伸びた男二人をようやく見た。
よもや一介のメイジなど彼の前では敵にもなり得ないというのか。
女は戦慄した。
「……」
星空に輝く月を仰ぎ、大魔法「メモリアルス」が完成した時、女は地面に抑えられた。