Neetel Inside 文芸新都
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4の使い魔たち
フラメィン学園への道のり

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 アリスが空から輝く光で目覚めるとふわりとしたベッドの上だった。

 ああ――、ようやく帰ってきたんだわ、と思った途端、
 古い木で出来た天井や少しくすんだ壁の色がアリスを現実に引き戻した。

「何コレ、何で私服を着たままなの……
 これじゃ服がしわになっちゃうじゃない」

 アリスは服のしわを伸ばしながら、昨日あったことを思い返していく。

「使い魔と再契約したんだっけ……」


 はあ―、と大きくため息を吐くと身を起こして腰掛ける。

 どこかの宿屋だとは思ったが、その通りだったらしい。
 ほとんど何も置かれていない部屋。

 天井は古くなった木の床張りで、
 部屋の真ん中には使い古されたような丸いテーブルがちょこんと置かれているだけ。

 唯一気になったのは壁紙に魔法塗料で描かれたオワスレナグサの絵だ。

「忘れ物をするなってこと?
 こんな簡素な部屋で何を忘れるっていうのかしら」

 アリスは毒づきながらいつもの調子が戻ってきたことこを感じて窓の外を見てみる。

 石畳と幾重にも重なる石造りの建物の向こうにジャポルの象徴である白い六芒星の塔が見えた。

 いっそ全てが夢だったらどんなに良かったか。

       

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Neetsha