Neetel Inside 文芸新都
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「こんにちは」

 昼下がりの街頭。
 シーナ探しも剣探しも全く収穫を得ることが出来ずに
 一度宿へ戻る決意をしたユウトはドアの手前で引き留められた。

 振り返ると小さな黒髪の女の子がそこにいた。
「……こ、こんにちは」

 それがユウトにどういった衝撃をもたらしたのかは言うまでもない。
「日本人……?」

 アリスとは違ってウェーブのかかっていない綺麗な黒髪はすらりとうなじを撫でるように降りている。

 幼い出で立ちに際立つ白く妖艶な肌色がマントの間から見えた。

「……ユウト、でしょ」

 少女が手を伸ばすと左手のルーンがちくりと痛んだ。
 白い頬を紅潮させ、ユウトの手を握ると彼女はその勢いに任せて胸に飛び込んでくる。

「……あれ?」

 何故か抱きつかれるような形になってしまい、
 ユウトは困惑し離れようとするがそれでも少女は退こうとしなかった。
「会えて良かった……」


 アリスの部屋の前に来て、今度は間違えることなくノックしたことを今は素直に喜べない。

「入っていいわよ」
 何故ならユウトの傍らにはあの少女がいる。
 ベッドに腰掛けたままのアリスは桃色の目を輝かせて言った。

「それじゃ改めてよろしく、ユウト」
 剣のことは時間が出来てから考えよう、そう思うしかなかった。

「アリス……実は」


       

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