Neetel Inside 文芸新都
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「さっきも言ってたけど、今日中にフラメィン学園ですって?」
「そうよ」

 何もない野っ原でユウトはスーシィの後をついて一時間ほど歩いていた。

「物理的に無理よ」
「そうよ」
「信じらんない。何が『そうよ』よ。
 どんな裏道があったって歩きでフラメィンなんて何週間もかかるわ」

 アリスは少し湿った胸元に風を送るように左手を動かした。


 二時間が経った。

「ねえ、食料と水を買うの忘れたんじゃない……」
「一日で着くからいらないのよ」

「あんたね……。私の話しを聞いてなかったの? 歩きでは――」
「誰も歩いて行くとは言ってないことに気づくべきね。頭弱いわ」

「歩いてるじゃないのっ!」
 姉妹喧嘩みたいだなとユウトは思った。



 三時間後――。

「ヤア、もう歩きたくない」
 アリスは首をそらして抗議する。
「歩いてるのはアリスの脚じゃないよね?」ユウトがキレた。

「……そろそろ良いかしら」
 そういうとスーシィはマントのフードから妙な生き物を取り出した。

 羽の生えたトカゲ。としかユウトには見えなかった。
 スーシィの両手で持てるそれはとてもじゃないが乗ると潰れてしまう大きさだった。

「さ、呼んで」
 スーシィがその小さいトカゲに言うと、それは口を開けて『ぎゃあ』と鳴いた。

「あによそれ、何の冗談よ」

       

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