Neetel Inside 文芸新都
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 それからアリスはユウトと共に部屋へと戻った。

「つまりどういうことさ?」

 ユウトはアリスをベッドに腰掛けさせて聞いた。

「これからは私一人じゃ服を着ることも食事を取ることも、
 あまつさえ下のことも全部一人じゃ出来ないってことよ!」

 アリスはベッドのシーツを固く握った。

「だ、誰かに手伝ってもらえないのか?」
「無理よ……」
 ユウトは少し苦笑いする。
 正直言ってそんな四六時中ついて身の回りの世話なんて犬でもご免だと思った。

 何せ、下の世話は……女の子なんだから。


「き、きっと誰かにお願いすればわかってくれるよ」
 いつもの覇気が全く感じられないアリスを気味悪く思ったユウトは部屋を出たかった。
 ぼろぼろの服のアリスを着替えさせるという発想は微塵も沸いてこない。

「そうだといいのだけれど……」
「じゃ、じゃあ早速誰かに話してくるよ」

 そう言って部屋のドアの前まできたとき、独りでにそれは開いた。
「?」

 目の前に誰もいないので視線を下ろすと、可愛く微笑むスーシィがいた。
「スーシィ!」
 ユウトは思わず大きめな溜め息と共に言ってしまう。

「あら、ユウト。私に会えたのが嬉しかったの?」
「ちょ、ちょっと。あんた何しに来たのよ」

 ドアを閉めてスーシィは笑い顔から一変、アリスに渋い顔を向ける。
「そう邪険にしないでもらえるかしら。
 あなた一人じゃ大変だと思ってこうして相部屋にしてもらったのよ」

 頼んでないわよと言いかけるアリスの口を慌ててユウトが塞いだ。
 校内に来てからアリスに対する異常な雰囲気は学友という感じではなかった。

 ユウトはアリスの怪我のことも含めて穏便に、そして出来るだけ努力しないで済ませたかった。
「よろしく頼むよ。スーシィ」
「ええ、ユウトに頼まれればお安いご用よ」

「ちょ、ふががぐっもおー」
 スーシィはユウトの願いを快く受け入れた。

       

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