散々くすぶっていたアリスだったが、
服を着替えるとなるとユウトでは不安なのかスーシィをちらちら見るようになった。
「スーシィ、あんた私の服を見てどう思う?」
「酷いわね。正直言ってその格好で部屋にいるってすごいと思うわ」
「着替えさせたくない?」
「なんでよ。私はあなたの傷を治すとは言ったけれど、従士になった覚えはないの」
スーシィは部屋の隅で薬草を並べ、
アリスはベッドの定位置からまるでイベントキャラクターの用に動いていない。
ユウトは窓の外を眺めていたが、ついに退屈した。
「(アリス、アリス)」
ユウトは正直限界だった。
アリスは先ほどから高圧的でしかない。
そんな態度で物事を頼まれて頷く奴はよほどのヤラレ好き、Mだ。
「あによ」
「(そんな態度じゃいつまで経ってもスーシィは着替えさせてくれないよ。
普通に頼めばいいんだ)」
「わかってるけど……何かイヤ」
ユウトは一瞬眼球が一回転しそうになった。
こんな調子でこれからやっていけるのだろうか? ユウトはスーシィの方へと行った。
「(スーシィ、スーシィ)」
「なあに? ユウト」
「(さっきはお安いご用っていったけど、全然安くないよね?
むしろ取引できないよね?)」
「気が変わったわ。まあ、見てなさい。最後に勝つのは私だから」
ふふ、と笑うスーシィに肝を冷やしたユウトは窓辺へ戻る。
女はわからないと思いながら窓の外へと視線を戻した。