Neetel Inside ニートノベル
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或る夏の物語
7週目

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●7週目



1週間の休みを終え、日常の生活に戻った僕。

久しぶりの会社は、予想通り仕事がたまっていた。
目の前の激務に追われ、考え事が出来ないほどあわただしく時間が流れる。
今の僕には、その忙しさが正直有難い。


結局、さんたマンションに顔を出したのはその日の夜。家に帰ってからになった。
楽しみと同時に、何も言わずに居なくなった事に後ろめたさを感じる。
皆には何て言い訳しよう。
そんな事を考えながらネットに繋げると、メッセに伝言が届いていた。

差出人は「どらみ」だった。



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ぼく 「おひさし、おひさし」
どらみ「こんばんはー」
ぼく 「ごめんね、メッセージ貰ってたのに」
どらみ「ううん。急に来なくなったから何かあったのか心配してたの」
ぼく 「皆にも心配かけたみたいだね」
どらみ「いいよ。こうやってまた来てくれたら」
ぼく 「これからはまた、前みたいに毎日来る事にするよ」
どらみ「そう。私にできることなら何でも相談してね」
ぼく 「ありがとう。もう大丈夫だから」
どらみ「本当に……?」
ぼく 「うん」


祖母の事はどらみに話さなかった。
みんなには話しておくべきだと思っていたが、どらみと話していると何故かその気が薄れた。

彼女は何か気付いてたかもしれないが、多分見当違いだろう……。



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この頃からだろうか、
僕が長く部屋を来なかったせいでもあるが、「さんたマンション」に来る人が少なくなった。
さんたやどらみ、くみは頻繁に来ているのだけど、他の人を見ない。

それにさんたとの会話も少なくなったように思う。
どらみとは良く話すようになった。


祖母を失って、人との繋がりを大事にしたいと思った矢先である。
人生って上手くいかない様に出来ているのかな……。
そんな事を考えながら、楽しいチャットの時間が流れていった。



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