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平成ライダー談義
【仮面ライダークウガ】

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【仮面ライダークウガ】



【1.作品全体の評論】


当時小学生だった私は、このクウガに関して予告の時点では興味が沸かなかった。
それまでの軽快な雰囲気の日曜朝8時とは打って変って、シリアスでグロテスクでバイオレンスで…そういった印象を受けたからだ。


しかし、第1話を見て印象はガラリと変わった。
朗らかで好青年な主人公、(当時では)斬新だったCG演出、そしてなにより、等身大ヒーローのカッコよさ。
それまでも、ビーファイターやジャンパーソン、ソルブレインといった等身大ヒーロー番組は見てきたが、この「仮面ライダー」はそのどれよりも私の心に響いた。
ロボコンやカブタックも悪くはない。だが、世の中の男が皆持つ「カッコよさへの憧れ」は、やはりこの仮面ライダーが最も象徴的なのではないか。


上下が黒く途切れた、まるで映画のような画面。
本当に存在してそうな、リアル感あふれる怪人。
そしてそれに立ち向かう仮面ライダークウガ。


1988年生まれの自分は、それまでの昭和ライダーを知らない。
名前こそは知っていたが、各作品をじっくり見たことは一度もない。
そういった新規年齢層をも夢中にした「クウガ」は、まさに特撮界の新しい風とも言える。


少年心に「カッコよさ」を感じたのは、後のライダーにも受け継がれるフォームチェンジシステム。
クウガは平成ライダーで唯一一人のライダーしか登場しない作品ということもあり、そのフォーム数はライダーの歴史の中でもかなり多い方に分類される。
更には、そのどれもを状況や敵によって使い分けることが重要視されており、各フォームの登場・パワーアップ回は毎回楽しみだった。


そして忘れてはならないのはバイクアクションである。
トライチェイサーやゴウラムなどは、クウガの移動・攻撃手段として重宝された。
一見軽そうに見えるスタイリッシュでスマートな機体、それが一転して重厚感あふれる重機体へ。
このギャップも、視聴者の心を掴んだことだろう。


怪人の描写も特異で、序盤は誰もが人語を扱わない。
すべてがグロンギ語で話されるという演出は、その人外性を際立てていた。


更にはこれに深いドラマ性や、警察などの登場によるリアル感が加えられ、「クウガ」という世界観が確立する。
まさに、多くの人を魅了した仮面ライダー史の変革作品とも言えるだろう。

     

【仮面ライダー】


・クウガ(グローイングフォーム)

通称未確認生命体2号、白いクウガである。
クウガとしての完全な素体であり初期状態であるグローイングフォームは、初戦闘の第1話を川切りに、その後もクウガが深刻なダメージを負った時に「戻る」などの表現が用いられた。
特に印象深いのはグロンギ族のキノコ怪人にやられたクウガが、一度死んでしまうエピソード。
毒にやられた時や、復活した時はこの白いクウガとなった。
第1話においては、この白いクウガにしか変身しない(後の基本色である赤にならない)という魅せ方が物凄く印象的である。
平成ライダーにおいての、記念すべき1号ライダー。


・クウガ(マイティフォーム)

基本形態の赤いクウガ、通称未確認生命体4号。
初変身である炎上協会シーンは、特撮史上でも指折りの名場面と言えよう。
戦隊ヒーローでも赤が真ん中であるが、やはり赤というのは単純に「カッコよさ」に直結する色なのだろうか。
その後も、龍騎・カブト・電王・キバなど、平成ライダーでも赤を纏った主役ライダーは多い。
このフォームで印象的なのはやはりキックだ。
ジャンプした後に1回転し、キック。この一連の流れ、そして着地時の片腕を広げるポーズ、これにグッときた人も多いだろう。
それが初めて炸裂したEPISODE12「恩師」も、印象的な回である。


・クウガ(ドラゴンフォーム)

水の力を纏った青いクウガ。
跳力の高い怪人を相手にするクウガに呼応して超変身した。
スピードとジャンプ力に優れている分、パワーや防御力が著しく低く、それにより敵に深い傷を負わされることもしばしばあった。
後述のペガサスやタイタンもそうだが、クウガはフォーム毎のステータスバランスが視聴者にもはっきり伝わっていたのが、面白さの一つだと思う。
印象的なのは、鉄の柵を蹴り上げてそれを武器(ドラゴンロッド)に変形させるシーン。
杖を使ったスタイリッシュな戦闘は見ごたえがあり、それは後に同色同武器の電王ロッドフォームにも受け継がれている。


・クウガ(ペガサスフォーム)

風をつかさどる緑のクウガ。
射手をイメージさせるフォルムで、片方の肩にだけアーマーが付いているのが面白い。
聴力や視力を常人をはるかに超えた数値にまで引き上げるが、その分接近戦関連のステータスはかなり低下している。
そのため、ゴウラム等を使った遠距離射撃が必殺技となっている。
初めてペガサスになった時も、そのあまりの情報量に自ら負けてしまったのも印象的である。
すれ違うパトカーの一条さんから銃を貰い、それを武器化するのが映像的にも栄えていた。
しかし、一条さんは毎回銃を失くした始末書を書かされたのかと考えると、ちょっと不憫ではある。(笑)


・クウガ(タイタンフォーム)

大地の力で超変身した紫のクウガ。
剣道で特訓をした五代が、敵の猛攻にひるまずゆっくりと接近するという戦法を編み出し、それを実践で応用したのが印象深い。
また、後になってこの防御力を攻撃力で上回る怪人が出現し、胸にボコボコと傷痕を残していたのも「痛い」表現であった。
敵の攻撃からの緊急回避としてとっさにタイタンになるシーンもあり、なにも戦う事だけがフォームチェンジではない、という面白い使い方もされた。
これは数年後、555がジェットスライガーの爆発からアクセルフォームで回避したシーンにも応用されている。
また、キバでは「紫で重量級」といった同タイプのドッガフォームも存在する。

       

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