Neetel Inside ニートノベル
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勇者物語
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「おきなさい、起きなさい私の可愛いアレス」
母が俺を起す声が聞こえる。
もう朝か。早く起きよう。
ああでもやっぱり眠いしいいや。
「早く起きなさい」
何度か叩かれたので観念して起きる事に知る。
休日くらいゆっくり寝かせて欲しいものである。
「う……頭いてぇ……」
何故か頭が痛い。
何故頭が痛い? えーと昨日は。
俺は世界的に有名な大学に特待生として進学する事が出来た。
嬉しくてその日は皆浮かれて朝まで飲みつづけた。
うん。よし。そこまでは覚えている。
じゃあ、なんでだろうか。
「おお! 勇者アレスよ! 是非ともこの世界を救ってくれ!」
金ぴかの冠を被って真っ赤なマントを着た白髭のおっさん。
誰だこいつ。
第一感想はそうだった。
第一印象は頭の痛そうなおっさんである。
「アレス、きちっとしなさい。この方は王様ですよ!」
「そうである」
とこまでも偉そうに胸を仰け反らせる。
夢だろうか。というか、夢だろう。
確かにこの国に王様がいるのは知っている。
然し何故俺の家に、俺に会いに来るのだ。
「勇者よ。おぬしに是非とも頼みたい事がある。悪き魔王を倒し世界を救って欲しいのである!」
無駄に馬鹿でかい声が、二日酔いの頭にガンガン響く。
どうやら、夢じゃないらしい。
「おぬしの父アベルは勇敢であった。たった一人で魔王に立ち向かったのだ。しかしながら、その後の消息は知れん。アレスが魔王を打ち倒しこの世界に平和を導いて欲しい!」
「ちょと待てください。魔王なんて聞いたこともありません。それに何で俺なんですか? 俺非力ですし、もっと強い人が他にいるでしょう?」
もっともな理由であるが……頭の痛いおっさん、もとい王様は素晴らしく安直な理由で答えてくれた。
「偉大な父の息子は偉大であろう。わしもそうである故間違いない!」
しかも、素晴らしく自己中な理由である。
やはり王様というのは我儘し放題ななのだろうか? だからこんなにうざいのか?
「まぁ、それはどうでもいい。餞別として100Gと檜棒を渡そう。さぁ往くのだ!」
無理やり追い出されてしまった。
俺の家なのにな……。
しかし、100Gとはケチにも程がある。
こんなんで何しろって言うんだ。
棒だろ。木の棒だろ。
俺はガキじゃないんだぞ?
この国の財政が少し分かった気がする……。

       

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