Neetel Inside 文芸新都
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階段×怪談
第一段

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階段×怪談

作者 蒲雄


第一段 

 「はあ・・・こんな時間に学校に行くなんて・・・」
  学校へと向かいながら、私、佐野由希は呟いた。
 もう午後の7時を回っている。なぜ、こんな時間に学校にいくかというと、
 担任から渡された、保護者への連絡プリントを取りにいくからである。
 今日中に親に渡せと言われていた、大事なプリントだ。
 それを、自分の教室に置いて来てしまったのだ。あまり遅くなってはいやだ、
 とっとと取りに行こう・・・そう思い、私は歩くスピードをはやめた。
 そしてかれこれ10分ほど歩き、私が通う名東中学校に着いた。 
  校舎の様子を見てみたが、人はいないようだった。
 夜の学校は嫌だな、早く帰りたいなと思いながら私は校舎に入った。
 校舎に入ってみると、夜の学校の不気味さが改めてよく分かった。
 暗く、誰もいない教室。いつもは普通に入っている教室でも、
 人がいない、この夜の闇のなかではひどく恐ろしいものに感じられた。
 早く教室へ行こう・・そう思い、私は、3階にある私のクラス、2年4組
 へと行くため、階段を上った。
  5段ほど上った時だろうか、後ろでカツン、と音がした。
 私は思わずビクッとして、後ろを振り返った。しかし、
 当然の事ながら後ろには誰もいなく、物も何も無かった。
 空耳だったのだろう、と無理矢理自分を納得させ、再び
 階段を上り始めた、その時だった。
 カツン、とさっきと同じような音がした。
 また後ろを振り返ってみたが、もちろん何も無かった。
 しかし、階段を上り始めると、また同じようにカツン、
 という音がする。しかも、だんだん大きくなっている様だ。
 これはまずい、と思い、階段を速く上っていこうとして、その時だった。
  今度は、前からもカツン、という、あの恐ろしい音がしたのだ。
 その音は、どんどん近づいてくる。後ろからの音も、こちらに
 近づいてくる。私は謎の恐ろしい音に挟まれてしまった。
 わたしはどうする事も出来ず、ただ立ち尽くしていた。
 そして、2つの音はどんどん近づいてくる。そして、2つの
 音は私のすぐ近くまでやってきた。
 私は思わず目を閉じた。次の瞬間、どん、と押されるような
 感じがして、私は階段を転げ落ちた。激しい痛みに襲われながら、
 私の意識は遠くなっていった・・・・。
  気がつくと、私は保健室のベッドの上に寝ていた。
 「あんた・・・大丈夫?」
  母さんが聞いてきた。
 「階段から落ちちゃっただけだよ。」
  私は言った。どうやら私が帰ってこない事を心配した親が学校に連絡し、
 探しにきた先生が、階段から落ちて、気絶していた私を発見し、
 保健室のベッドまで運び、寝かせたらしい。
 「それしても、あんたもドジだねえ、階段から落ちるなんて。」
 母さんがそう言って来た。本当は何かに押されたのだが
 そんな事話しても信じもらえないだろうと思い、私は、あはは、
 と笑った。そして、母さんの車に乗って、家に帰った。 
  あの時、私を押したものが何だったのか、今も分からない。
 これが、私が体験した階段の階段です。


       

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