自説自論
<センター対策>常識力で考えるセンター対策(修正)
まず留意すべきことは、受験科目に対する最低限の基礎的知識を持っていることが前提となることである。センター試験自体が、3年ないし6年の勉強の蓄積を動員することになるので、その科目の知識が欠落しているとどうしても解けない問題が出てくる。勉強していない分野に関しては大至急勉強しておくことが必要となる。
基礎が十分ならば、筆記で使わない科目で8割、使う科目はほぼ満点、全部の平均で9割前後を、誰でも目標とすることが出来る。むしろ目標とすべきである。
センターにおける大原則と言うべきか、唯一の普遍的な対策は、過去問を解きまくることである。学校で配られる予想問題集よりもこれらを重視した方がいい。
どれくらい解くべきか。約20ヵ年遡れるので、これを2回ずつ解けばいい。それも終わってしまえば次は追試の問題を解く。これで80回分。それでも時間が残っている時に、実戦的な問題集や、「○○パック」などと呼ばれる本番型の問題セットに移る、というのが最も効率のいい勉強の仕方であると思われる。
というのも、センター実戦問題集や、「○○パック」、あるいはセンタープレ模試というものは、確実にセンター本番よりもクオリティが劣るのである。センター試験は1年間かけて良問を揃えるのだが、各予備校は、年に何度も予想問題を作らなければならない。だから良問は必然的に少なくなり、それも回を追うごとにクオリティは低下する。結局、直前模試になると悪問だらけになるという本末転倒な事態になるのである。
(ところが、2008年の英語の問題は非常に手抜きであった。由々しき事態である)
特に、暗記事項の少ない科目ほど顕著で、殊に国語(但し、古典は勿論暗記事項が多いが)においては、上の方法を実践し、196点を取った人がいるほどである。筆者はそれには及ばずながらも、やはり過去問を20年遡って2回解いた後に国語を受験し、9割5分を残した。筆者は古典はそれほど苦手ではないが、現代文は苦手科目であった。それでもここまで成績を伸ばせる。そこまで過去問は強力なのである。
以上より、過去問を解きまくり、その過程で決定的に弱い分野が明るみになった時に、その分野を参考書や教科書の復習で逐次補充していくのが理想と言える。
解きながら、何が弱いのか、自分自身のデータを得ることが重要である。
筆者の友人が有名講師の出講するセンター国語の冬期講習を受けたところ、その講師から「冬期講習を取っても今更センターの成績は上がらない」と言われたという笑い話があるが、事実そうなのだろう。知識の欠落を補い、問題に慣れることが、今(11月下旬)から成績を上げるほぼ唯一の方法かもしれない。
ここで、以下の事項は、常識に照らせばさほど特記すべきものではない。
・問題集の類いは研究済み
今あなたが持っているセンター攻略用の問題集は、それが一般に流通しているものならば、恐らく試験作成者も読んでいると思われる。
その問題集と同じ問題を出してしまったら、その問題集を使っていない人からクレームが来るではないか。だから、同じ問題を出さないように苦慮している。
・同じ問題が形を変えて出る
これが、過去問を重視するべきである大きな理由である。というより、「同じ問題が」出る、と言ってしまってもいいくらいなのだが、センター試験の巧妙なところは、受験生にそれを気づかせないような、ひねりを加えて出題していることである。
・生産性のない暗記を嫌う
もちろん、暗記が必要な部分がない、というわけではない。だが、その暗記問題ですらも、暗記に頼らず解けるような仕掛けがされていることが少なくない。
すなわち、「憶えていなければどうしようもない」類いの問題が、あまり多くない、ということである。地理の問題集では、ベルギー南部はワロン語で北部はフラマン語、という定番の暗記問題が頻出するが、これがまさに「憶えていなければどうしようもない」問題の典型なのである。もちろんセンター試験ではこれらの単語自体を訊く問題は出ていない。重要なのは各単語ではなく、この国に言語対立が存在する、という状況の把握なのだから。
ノートの空欄に赤ペンで答えを書いて、赤シートを上から載せて嬉々としている受験生は多い(試験会場にもいた)。そんな類いの暗記形式の問題集を持っている受験生も多い。
だが、前述の通り、恐らくセンターの出題者は、巷で売れている問題集には大抵目を通している。
筆者の場合、現代社会の勉強は1年時に授業でやっただけで、その細かい用語なども暗記していなかった。筆者は理系学生なので、社会は1科目でよかったのだが、地理に不安があった。そのため、公民も受けることにして、とりあえず過去問から数年分を解いてみた。
これだけの勉強で、実際のセンター試験では丁度80点を取った。
社会人になってから、筆者よりはるかに優秀な点を取る人もいる。もちろん教科書など憶えてはいないのだろう。それでも、「憶えていなければどうしようもない」類いの問題を除けばほぼ満点を取れているわけである。
筆者の例が適当であるかはわからないが、解けなかった2割は現代社会という科目の専門用語を基に解かなければならない問題であった。逆にそれを持たず、まぐれ当たりを除いたとしても、7割5分前後は取れる。
読解力、読図力、常識力があれば、誰でも取れるのではないか、と思う。逆にこれらが欠けていると、いくら暗記に頼っても取れない。単なる暗記で取れないように試験作成者は考えて作っている。
7割5分は取れると言いながら、この科目の平均点を見てお分かりのように、それが不可能な人が多いのも、そういうことなのだ。
受験生でない方でも、新聞にセンター試験の問題が出るので、現代社会や地理を解いてみるといい。教科書の勉強や、過去問を全くしていない人でも、中には8割以上を取れる人がいるかもしれない。それは、一般的な社会的知識、あるいは地理的知識で、そう解けるようになっているのだ。
「憶えていなければどうしようもない」問題を除く部分、つまり読解力、読図力、常識力による部分をどう勉強すればいいのだろうか。もはや言うまでもなく、それらを出題できるほどに高度な、唯一の問題集は、過去問なのである。