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自説自論
「かんなぎ」のナギは本当に不貞であるのか?

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 かんなぎという商業漫画がある。このかんなぎのヒロイン「ナギ」に主人公とは別の想い人がいたことが発覚し、2ちゃんねるなどのインターネット界隈で騒ぎになったことは記憶に新しい。

 だが、ちょっと待って欲しい。確かに、ナギに想い人がいたのは、主人公及びそれを通して感情移入していた読者諸兄にとっては、非常にショッキングで許しがたいことであっただろう。しかし、だからといって即「姦通済」の烙印を押すというのは早漏…もとい性急すぎないだろうか?現代では信条・思想といったものから、肉体的なものに至るまで、様々な理由で性交渉を拒む男女が増加しているし、そうでなくとも、恋人がいるからといって積極的に性交渉に励むような人間が社会の100%を占めるとは限らない。ナギを中古と断定するにはあまりにも証拠や基準といったものが不足しているのだ。
 本論ではこうしてすでに中古として評価が落ち着いてしまったナギの非処女問題について、原作を中心に再度、徹底的に検証していきたいと思う。

 まず、筆者がこの問題を取り扱おうとした動機について述べさせていただきたい。筆者はこの問題が発生した当初、正直言ってナギが非処女かどうかなどということは、はっきり言ってどうでもよかった。なぜなら作品自体に全く興味がなかったからである。
 しかし、ある日の深夜。偶然、避難所でやっていたマトイと聖城その他のインターネットラジオ放送を聞いてきたときに事件は起こった。彼らはMBSで深夜3:25分からやっていたかんなぎ(確か第七話)の放送をリアルタイムで実況しようとし始めたのである。
 「あ、そういえばうちも関西じゃん」そう思った筆者は何気なくテレビをつけ、聖城たちの企画に軽い気持ちで乗っかろうとした。

 そもそも筆者は最近のアニメというものに全く興味がなかった。確かにチャンネル数は多いが、どこもかしこもエロゲーだのラノベだのの原作を単にアニメーションに起こすだけで、全く新鮮味もチャレンジ性も見当たらなかったからである。その上エロに頼ってDVDを買わせようとするとは、なんという商業主義、俗物主義のスタッフどもだろうか。「パンツじゃないもん!」こんな言葉にいちいち騙されるなよキモヲタどもが。いい加減にしてくれ。そして、筆者がリアルタイムで最後に見たアニメーションはアニプレックスが制作していたかみちゅ!(2005年放送、作画、脚本ともに高クオリティ、素晴らしいOPED、それでいて萌えといった媚びがなく女子供でも楽しめる)であった。
 このかんなぎの放送前も、そうしたラノベ原作の「とある魔術の禁書目録」とかいうアニメがやっていたが、当然、筆者にとっては退屈を誘うだけのものでしかなかった。「マトイや聖城はこんなものの何が面白いんだよ」そう思いながら、筆者はシコシコと作業に精を出していた。
 
 だが、筆者にとって、その後放送されるかんなぎは一応興味をそそられるものであった。「噂の非処女アニメか…どうせ観るなら一通り観て叩いてやろう」そういった思惑があったからである。

 「このあとは!かんなぎ!」ヒロイン役と思われる中の人の声によってOP前のコールがかかった。さあ、いよいよ放送だ。ピュアボーイどもがどれだけ落胆したのか知らないが別の意味でニヤニヤしながら観てやろうじゃないか。お、早速始まりやがったな。………………………ん?…何…だと……?これ…は…?

 ここで一つ読者にお話しておきたいことがある。筆者は昔モーヲタだった。しかし、それは帰宅部の中学生なら誰でも通る道で、ヲタになったのも「友達が好きだったから話つくりのために合わせておくか」、といった程度の理由である。ただ、新曲が出るたびの振り付けには本当に興味があり、アイドルソングの振り付けに関しては今でも好意的な見方をしている。

 さて、話を放送開始後に戻そう。ぶっちゃけて言おう。筆者はその瞬間ナギの振り付けの虜になったのだ。「お、おかしいな…俺モーヲタ辞めたやん…封印したはずやん…アイドルなんて…興味…ないやん…」
 しかし、二次の魔力というのは本当にすごかった。三次なら多少野暮ったくなってしまう「歌+振り付け」であるが、二次というフィルターを通すことによって一切の無駄が取り除かれ、完璧に一人のライブで歌い踊るアイドルとして昇華されているのである。ハルヒの時は「何だ媚びか」らき☆すたの時は「悪ふざけが過ぎるだろ」と思ったダンスOPであったが、今回ばかりは山本寛に完敗した。ただ、OPアニメのない原曲は聞けたものじゃないが。

 そして、さらに筆者にとて衝撃だったのがOPだけでなく内容までがクオリティの高いものだったということである。洗練された作画、ラブコメとして隙のないストーリー、声優の好演、魅力あるキャラクター。どれをとっても好意的に感じるという以外の選択肢がなかった。
 それもそのはずだった。なぜなら、なんとこのかんなぎを制作していたアニメーション制作会社があの「アニプレックス」だったからである!!!「なんや…かみちゅの制作会社やないか…ど、どおりでウチに馴染むはずや…三年越しの邂逅やぁ…」

 運命などというものは、現代を生きる人々にとってはおよそ信じられないものかもしれない。しかし、作者は今回の件を通して実感した。「運命って…本当にあるんだね…ありがとう、アニプレックス」
 そしてあの時実況してくれた聖城とマトイありがとう。ちなみに即効で原作買ってDVD予約しました。母さん、また漫画の進行送れそうです。



 ~fin~

       

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