俺はいつものようにパソコンの前にいた。
ただちょとだけ違ったのは俺ってこのままでいいのかなという風に考えていた事くらい。
なんだか引きこもりをいつまでもやってて虚しく感じてきた。
あーやべ。涙でそうだ。
まぁいいや。どうせ頑張っても引きこもりから抜け出せないんだし。
もう時間なので寝ようと思って電源を切ろうとしたときだった。
ディスプレイからまばゆいばかりの光が溢れ出し俺の胸を貫いた。
……というのは嘘で、取りあえずディスプレイから人の手が出てきた。
がっとサイドを掴んで這い上がってくる感じで。
3秒くらい経ってから俺は状況を理解した。
「うわぁああ!」
驚いて俺は椅子から転げ落ちてしまった。
ディスプレイからは次に頭が出てきた。前髪が長い。まるでさだこだ。
というか、さだこだろこれ………。
「ひっ……」
逃げ様にも腰が抜けてしまって動けない。
何か武器になるものはないかとおもって周りを見渡す。
焦っている所為もあり中々見つからずどんどんさだこ(仮)はでてくる。
もう上半身完全に出てきている。
なにかないかなにかないか。
あ、あった!
俺は一つの武器を見つけた。
これこそ神の恵んでくださったに違いない!
無我夢中でそれを掴んだ。
むにゅっと柔らかかった。
みるとそれは黄色くて曲がっていた。
それは最近朝食べるといいというダイエット方式が本になっている奴。
バナナである。
「バ、バナナだとぉぉ!?」
よりにもよってバナナとは!
おお神よ貴方は私に氏ねと仰られるのか。
がたん! という音がして振り向くとさだこが完全に出てきてずるずるとこっちに這いずってくる。
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏! アーメン! アッサラーム・レクイエム!」
とりあえず適当に叫んだがまったくさだこにはきかない。
遂に俺の目の前にまで来た。
涙目の俺は最後の台詞を吐いた。
「人生オワタ」
さよなら父さん母さん。あ、倒産と母さん既に死んでるや。
じゃあ妹、千華、紗那、その他諸々。
さよならだ。
さだこはすっと音もなく立ち上がり俺を睨みつけた。
そして真っ白な手が俺の首へと伸びていった……。
恋愛事情・完結