Neetel Inside ニートノベル
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 オレはあいつの正体を知っていた。五年前、転校してきてからずっと。流石にまずいと思った。人間界に降りて五年、こんなところで捕まるなんて、と。

「でも、あいつは気付かなかった」

 十年で時効なのだ。つまり、あと七時間ちょっと。

「いや、気付いていたのかもな」

 あいつのことだ、十分にありえる。
――それに。

「自分の正体をバラすとはな、それもこのオレに」

 うまくリードして、あいつの『咎』を回避してやった。
 今も、昔も、親友としてはこれくらいはしてやらないとな。
 鼻で笑い、両眼を瞑る。

「借りは返さなくていいぜ。どうせ、もう、……会うことはないんだから」

 教室全体に夕焼けの雫が広がっていた。
 今更ながら綺麗だと、本当に、そう、思った。












 放課後の教室、その静寂を切り裂いて『親友』の言葉が俺の背中に突き刺さる。
「……その羽を拾わなければ、見逃してやったのに」

       

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Neetsha