Neetel Inside ニートノベル
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「私の特殊能力、人の行動をちょっとだけど操作することが可能なのよ。
 正確には一ヶ条制限を加えると言った方が正しいかもしれないけど。
 あなたには「嫌々ながらにも私の命令に逆らえない気がする」程度の制限が
なされているわ。
 絶対遵守にすると応用が利かなくて困るから緩くだけど」
つづけて、
「手術跡はご覧の通りおなか開いて縫ったのよ。
 私の陰毛を抜いて、貴方のおなかの神経に繋ぐことで私の能力は効力を発揮
するのだけど。
 ちなみになぜおなかかというと一番やりやすいからよ」
こいつはなんとも大層なことを、平然とした顔で言ってのけた。
「ちょっと待てよ、僕の神経にお前の陰毛が絡んでるのかよ! 外せよ!」
他人の陰毛なんて、自分のですら多少なりに嫌悪感がある。
僕には不幸ながらフェチな嗜好も無いのでいくら可愛い子のでもご免被る。
 彼女、千里だったかはもみ上げあたりの髪の毛を指に絡ませ首を傾げ、
「お前ってのは汚いわね、お嬢様と呼びなさい、しょーねん」
・ ・・なんだろう、そうしないといけないような不安感が僕の中をよぎる。
勇者が自分の宿命を知り辛いながらも旅に出るように、計り知れない使命感。
胸にわき起こるハラハラとした焦燥感に負けた。
「お嬢様、外せこら」
半端な忠誠、というのがちょっとだけの操作ってことなんだろう。
だが言われたことに対しては多分、僕の意思力じゃ反抗出来そうにない。
「無理無理、接続して一時間以上経過してるから貴方の神経と見事に同化して
ると思うわ」
最悪だ。
というか、よく考えたら新たな疑問が生まれる。
「お嬢様、チビでロリっぽいけど生えてんのかよ」
「やっと生えてきたはじめの一本を通りすがりの貴方に実験移植したのよ。
 ちなみにどうして自分の能力が分かったかというのは備わった時にご都合主
義的に自覚出来たのよ!」
「色々ひどくね!」
お嬢様、しぬほど偉そうにのたまってくださいやがった。
「でも安心しなさい。 下っ端戦闘員として末永くボロ雑巾にしてあげるわ」
えらい言われようだ。
美少女に尻に敷かれても嬉しくないぞ僕は。
 あー、それにしても手術してから一時間以上経ってるってことは、もうすっ
かり日が暮れてるんだろうなぁ。
夕飯食いそびれたかも、携帯何処かな、夕飯残しといてもらお。
「なに目を反らして現実逃避してるのよ。 まずは本当に身体の異常がないか
見がてら、組織の案内や紹介にいくわよ。
それにしても私たち組織初めての下っ端よ、死ぬほど自慢してやるわ」
 ずいぶん小規模な組織なようだ、怪人とかもいないんだろうか。
なによりまず本気で世界征服やら撲滅やら考えてるんだろうか。
でもとりあえず、結論を言えば。

 その日、僕は半奴隷戦闘員第一号になった。

       

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