Neetel Inside 文芸新都
表紙

見開き   最大化      

「暇だ」
ああ、しかし暇だ。
俺はこの魔王城に住む魔王だが暇だ。やる事が何も無い。
俺の先祖は世界征服とかそう言うのに燃えていたらしいが全く俺はやる気が起きない。
何しろそんなのめんどくさくいのでぼっーとしているほうがマシである。
寧ろ俺は燃えるではなく萌えるの方がすきなんだ。
ああ、しかし暇だ。
何もやる事がない。本当に無い。
少し思案してから俺は一つの案を思いついた。
召喚中でも呼んで暇を潰そう。
とりあえず博識なシヴァでも呼んでいればとうぶんは暇つぶしができるだろう。前回はイフリートをよんでいたしな。
そうかんがえて俺は召喚することにした。
「我が声が聞こえるのならば汝応えよ、さあ我もとに来たれ!」
ぱっと床に六旁星が浮かびあがりその中から光に包まれて出てきたのは背の小さい巫女服をきた少女だった。いや、立派に狐の耳と尻尾が生えている所から人ではないのだろう。
しかし当の魔王は困惑していた。
こんな幼児体型な奴がシヴァではない。
シヴァはこう、もっとお姉様なのだ。
「私を呼んだのはお前か?」
「いや、呼んでない」
即答だった。
「ああ、間違えたっぽいから帰って良いよ」
めんどくさそうに手をひらひらさせる魔王。
しっしっとまるでハエでも払うかのようである。
「な! 私を呼びつけておいてその態度は何だ!!」
顔を真っ赤にさせて叫ぶ少女。
しかし幼児体型のせいか全然恐くない。
すこしむっとした魔王だったが冷静に言い放った。大体はこれで怯えるものである。
「お前こそ俺を誰だか知っているのか俺は……」
「ああ知っている。魔王だろう? だがそんなこと知ったものか! 私は誇り高き九尾の狐だ!」
心底頭にきているのか怒鳴り散らして喚く少女に魔王は目をひそめる。
魔王と知ってなお態度を変えない少女に魔王は内心感心したが、あくまで魔王はふんっと鼻で笑った。
「九尾の狐など恐れるに足らん相手だ。この魔王に対していい度胸ではないか小娘」
「小娘ではない! リリィという名がある! それに私はこう見えて200年は生きているぞ!」
魔王はリリィを完全に見下している。
態度も見た目も。なぜならリリィと魔王には身長の差がかなりありリリィは魔王を見上げる形だからである。
ちなみに魔王も200歳だ。
「ほう、俺と同い年か。まぁいい、さっさと帰れ」
「ふんっ! 言われなくても帰ってやる」
リリィは六旁星の中に戻ったが一向に消えない。
30秒ほど待ったが魔王は遂に痺れを切らした。
「早く帰れ!」
「黙れ、器量の狭い奴だな……くっ! このっ……むむむ」
「むむむじゃない。何してる」
「…………帰れん」

       

表紙
Tweet

Neetsha