Neetel Inside 文芸新都
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ぼそっと呟いたその言葉に魔王は唖然とした。
帰れないなど理由は一つである。召喚術を間違えたのだ。
召喚術とは全部で三つある。
一つ目は召喚獣のように契約して短時間の間呼び出すもの。
二つ目は使い魔として召喚し契約時間まで自由に使えるもの。これが人間どもが主に召喚術だと信じている。
三つ目は一生涯主人が死ぬまでそばに居なくてはいけないものである。魔王が使ってしまったのはこれだった。
「そんな……俺ともあろうものが間違えるなどありえん。認めんぞ俺は」
頭を抱えて悩む魔王に下から声が聞こえる。
「しかし現に失敗しているのだから仕方ない。私も腹を括ろうではないか」
魔王は気を取り直してじっとリリィを見つめた。
ショートカットの黄金色の髪、大きくてパッチリとした目、長いまつげ、きつく結んである唇。
容貌はわるくない。寧ろ可愛い。
それに加えてこの幼児体型。ロリコンには堪らないだろう。
じっと下から上まで見終えた魔王は溜息をついた。
しかし心労からではない。
「可愛いからよし」
満足げにそう応えた魔王の言葉を聞くや否やふるふると震えだすリリィ。
怒りに打ち震えているのだろうが魔王にはそれが感激の余り震えているものだとおもった。
おめでたい野郎である。
「おーおー、俺に仕えるのがそんなに嬉しいか」
「ふ、ふざけるな!! 可愛いからよしだと!? 貴様私を何だと思っているのだ!?」
余りの声の大きさに片耳を指で塞いだ魔王だったが玉座に座りなおして言い放った。
「召使だ」
「くっ…………!」
玉座に座る魔王の威圧に耐え切れずリリィは押し黙ってしまった。
傲慢不遜に言い放つ魔王だがリリィはまるで勝てる気がしなかった。
「それではこれから貴様に三つの法を定める。もし破ったらキツイお仕置きだからな。一つ目は俺に逆らわない事。二つ目は俺を崇める事。三つ目は俺の事をご主人様と呼ぶこと。以上」
「ちょ、ちょと待て! 一つ目は分かる。二つ目もなんとか分かる。しかし、三つ目は何だ」
「分からんのか? どこまでも低脳だな」
魔王は魔法で剣を取り出した。
すっと片手で音も無くリリィの喉元に突きつける。
つーと一筋の細い血が流れた。
「なんだ、私がどうしたというのだ」
「いや、かっこいいかなって」
また魔法で剣をしまう。
「魔王、そういう戯れは私ではないものにしろ。疲れる」
「お前いきなり破ってるじゃないか。それにお前以外にする奴などおらん」
「はぁ? ここには私のほかにたくさんの下僕が居るのだろう?」
「俺以外に誰も居ないぞ」
その言葉を聞いた途端おとなしくするリリィ。
「そ、そうか。それはわるい事を聞いた」
「気にするな。いや、お仕置きだな。夜の相手でもしてもらおうか」

       

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