Neetel Inside 文芸新都
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 ただいま、と言っても誰も居ない家に到着し、俺は軽く一息をついた。

>>おー凹お帰り

>>どうだった?何があった?

>>報告くるか?

ああ、そうだ。
今日は帰りにエロゲおいてある中古ソフト屋に行って来た。
初めて18禁カーテンの向こう側に行ったんだが、あれはすごい。
心躍るパッケージ達が俺を誘ってきたけど結局買わずに帰ってきた。
エロゲ好きな連中はパソの前で握ったりするのだろうか?
阿呆だなそいつら。けしからん奴等だ、非常にうらやましい。

>>どういう報告だwwwwwwwwww

>>おい!報告するかせんのかはっきりさせろクソゴミ

>>ワロタwwwwwwなんの報告してんだよwwwwwwwwww
>>俺のwktkを返せwwwwwwwwww

>>まて、お前ら。この凹のテンションを見よ
>>これはもしや・・・

冗談はさておき、先ほどまで俺は鉄火と会っていた。
待ち合わせ時間は8:00、場所はファミレスだ。
先ずは帰宅後即シャワーを浴び、埃と鉄粉にまみれた体を洗い流す。
風邪を引くことの無い様、髪を丹念に乾かし、おもむろにパンツを下ろし軽くひと握り。俺の欲求とは裏腹に心の中はあまり盛り上がらなかったため、内容的には満たされないお握りとなってしまった。
少々のんびりとしすぎたため、急いで身支度を整え、待ち合わせのファミレスまで走っていく。
待ち合わせの5分前に到着したのはまだ若い証拠か。
窓ガラスから中を覗くと鉄火が見える。鉄火にはあらかじめメールで奥のほうの席に座っておくように伝えておいたが、きちんと奥まったボックス席に座ってくれている。

>>どうした凹、ここまで順調じゃないか


「待ったんかな?ごめん」

鉄火
「いいよーwなんか外で会うの久しぶりな感じだわwちょっと恥ずいよね」


そのはにかんだ表情に鼻の下を伸ばしながら俺は着席する。
だが安心してはいけない。本日の議題の内容を知るまでは。
ドリンクバーを頼み、ソフトドリンクを準備した上でサミットに望む。

>>なんかい出だしだな

>>握りの報告には誰も期待してないんだけどなww
>>しかしさすが凹、やってくれる。


まずは俺から取り留めの無い会話を開始した。
ネットの話、バイクの話、生活に関わる会話を切り出すことで、鉄火の出方を探ることが出来るかも知れないと考えたからだ。そして気がつけばグラスが空になっていることに気付き、席を立ちドリンクバーに行こうとした。

鉄火
「あのさ、ちょっと待って。今日私が話ししたいんだけど。凹に聞きたいことあるんだわ」

来たようだ。本題突入か。立ち上がりかけたその腰を再び下ろし、手のひらを組み、まず水を飲む。落ち着いているぞ。俺は今落ち着いている。

鉄火
「向井と付き合ってるの?今」

相変わらずのストレート、これこそが鉄火だ。だが今の俺はうろたえない。
GNドライブ(住人)からの模範解答をレスして貰った俺は、少しも慌てない。


「ああ、付き合ってない。」

向井は黙ってマグカップを掴み、俯き気味にそれを飲む。
その一瞬を利用して俺は俺で思考を巡らせる。

・鉄火は何か勘違いしているようだ
・向井と俺が付き合ってると思っている
・俺が今否定したことに不快感を持っている

どのような行き違いで彼女がそのような解釈をしているのかは分からない。
だがここは彼女の不安を振り払うために俺から話しかけよう。


「あんな、俺な」

鉄火
「どういうこと?」


「いや、どういうことって」

話が進もうかというところで空気を読まない店員がピザを運んでくる。
鉄火は突然のウェイトレスの来訪にキョトンとしていたが、それを苦笑いに変え
『食べようか?お腹すいてんだw』
と口を開き、俺たちはピザを咀嚼し始めた。
心は意外に落ち着いているが、味がしない。

>>節子、それ落ち着いてへん。パニックや

>>ゴクリ(AA略

再度対話の口火を切ったのは鉄火だった。

鉄火
「あのさ、向井からちょくちょくメールが入るんだ」


「うん」

鉄火
「毎日事務所で楽しい楽しいって送ってきたりとか、お姉ちゃんありがとうとか、
ボコっていいところいっぱいあるんよ、とかずっと入ってくるよ
別に私には関係ないけどね、
アンタが向井と仲良くなるのはそれは私がお勧めしたもんだしね」

そして追い討ち

鉄火
「で、付き合ってるんでしょ?」

なんだこの人、完全に勘違いだ。
だがなんでここまで確認をするんだ。そもそもなんでこの人は俺を呼んだんだ
俺を呼んで、向井抜きで話をしないといけない理由でもあるというのか。


「あのね、姉ちゃん、俺向井とは付き合ってないよ。っていうかな、
 なんでそんなことしつこく俺に聞くん?逆に俺はそれが聞きたいねんけど」

鉄火
「だってさ、向井一人で凹の家行ったりしてるじゃん!!
 こっちはボコのこと好きだけど順番ってあるし
 向井のために私もやっぱ一肌脱ぎたいって思ってるってのに
 することしてんだから、まいったよね」

ちょっとまて姉ちゃん、ちょっと待て、もういっかい言え
人肌脱ぎたい?

>>そこをもう一回か?違うだろww

>>でも鉄火姉さんwキス先にしたじゃんwww

>>つううかこのタイミングで好きってww鉄火クオリティ

俺は鉄火に、向井とは何事も関係は起こっていない事を懸命に伝えた。
だが、鉄火の表情を察するに彼女は明らかにそれに疑問を感じている。
俺もなぜ分かってもらえないのかと葛藤する。

>>どうした凹、表情を察するとかお前らしくも無いw

鉄火
「じゃあついでに聞くけど、凹は向井と付き合う気はあるの?」


「無いの!!」

鉄火
「じゃあなんで向井はアンタと仲良くしてるで~
 ってメールをわざわざ作って私に出したりすんのさ?」

>>これは鉄火がニブ杉


「いや、それはわからんわ。むしろ姉ちゃんの方が分かるん違う?」

鉄火
「知らないって」


「ん~じゃあ俺もわからん」

沈黙が二人を包む。
俺は過去の流れ的に、このままでは鉄火が立ち去ると感じた。
今度は俺の番だ


「こ、これは俺の勝手な話しやけど。
 俺には好きな人が居るから向井とは付きあわへん。
 今までも付き合ってない。いずれはちゃんと断るつもりや。
 で、お、俺も気になってることがあるんやけど、
 お姉ちゃんは俺のこと今でもあれなん?」

鉄火下を向く、俺は彼女を見据える。
長い沈黙の後、鉄火は黙って頷いた。2回頷いた。
口は真一文字を保ち、手で眼を隠すように額に当てる。


「でも鉄火はとにかく向井のこともあるから正直俺とは付き合う気になれんと、
 おーてる(それで合ってる)?」

鉄火は黙って頷く。


「俺のいい加減さで向井には嫌な思いさせるとには変わらんから、
 向井にいずれちゃんと会って話するわ
 んで、ちゃんと付き合う気はないって話するから。」

鉄火
「それから付き合えっとか言う気なの?」

下を向き額に手を当てたまま鉄火がボソッと言う。少し声震えてる


「んー・・無理やろなww姉ちゃん的には」
 ・・・んーでもまあゆっくり考えてくれたら」

鉄火は突然顔を上げて俺に質問する。

鉄火
「凹は?」


「ん?」

鉄火
「凹は誰が好きなのか分からないからね、私は付き合わないかもね」

>>gkr(AA略

>>ゴクリ(AA略

さあお待ちかねだGNドライブの諸君、俺の始めての告白がここで始まる
最初で最後かもしれないから、よく聞いてくれ


「いつからかは知らんけど、俺は鉄火さんしか見てないっちゅうねん」

嘘は混じったが、今の気持ちに嘘は無い。
鉄火はへぇ、といった表情を見せ眼をぱちぱちさせた後、
細目の怪しむ眼を演じ、俺に語りかけた。

鉄火
「コンビニの娘のあとくらいから?」

俺の面食らった表情を見て、彼女は笑った。目じりの涙も気にせずに笑った。

良かった。

あとは向井の話はあまりすることも無く(俺にとっては鉄火と俺の持つ、彼女との話を持ち寄っているようでそれはあまり気分がいいものでは無かったので助かった)、
俺たちが付き合うかどうかと言うことも抜きにして会話をした。


>>好きって言えねえのかよwwへタレ

>>この会話の行間の心情を予想する
>>鉄火は、まだ凹も向井も100%は信じきれない状態じゃない?
>>鉄火はHに対して、いい意味でやや固め主義
>>TIGより凹が好みな理由にもそれがあると思う
>>だから凹の言ってることを信じたいけど、
>>「向井と本当にHしてて、やり捨て?」っていう疑念を0にはできない

>>まあ、よかったじゃんwこのやろうw

よし、じゃあ軽いお祝いに握らないか?
すごくこの喜びを分かち合いたい気分だ。

>>ネタうp

>>言いだしっぺの法則

>>なんだかんだで凹、成長してるよな

>>俺も同じことオモタ

住人さまがたにうpろだを教えてもらい、厳選エロ画像をzipでうpしたことが始まりで、オナネタの素晴らしき共有を楽しむ、というのがスレ内での密かなブームとなり、このスレはよりヌクモリティを高めていくことが出来たのである。
それと平行して、俺の苦難もまだまだ続いていく。県を跨ぎ、地方を越えて。


       

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