Neetel Inside 文芸新都
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昼休み、俺はTIGに先日の飲み屋の料金を請求しに行こうといきり立って事務所を出た
工場内で皆が自分の持ち場で食後のママーリとしたまどろみタイムを楽しむ横を通り過ぎ
俺はTIGの元へ急ぐ

TIGがいつも休憩中に座っている材料置き場が見えてきた。
TIGとヒラメ顔の友人は、そこにいた。
彼らの姿を見て、更に歩くスピードを上げようと意識した









足が動かなかった。TIGに先日殴られた腹がキリキリと痛み始める。
俺の足は俺の意識とは裏腹に、歩を進めてはくれない。
冬なのに手がじっとりとしてくる。


俺は



TIGの姿を見て、動けなくなった。
一歩も進むことができなくなり、思考もパニック状態に陥り
飲み代の請求はおろか、彼らに近づくことすら出来なくなっていた

口の中に唾液が溜まり、自らを落ち着かせようとそれを飲みこもうとしたとき
棒状のもので頭をポフポフと叩かれ、俺は突然我に帰る

鉄火
「いよっ!」

振り向いた俺に掌をこちらに向け、歯をニッと見せながら彼女は挨拶する


「ああ・・・姉さんかいな」

鉄火は先ほどまでの俺の緊張など知らなかったという顔をしている。
そして俺に黙って掌を上に向けて差し出してきた。


「?」

鉄火
「コップ!私が飲めないじゃん!」

俺は朝方コーヒーを貰った時に借りたコップをまだ返してない事を思い出し、事務所へ走った。
急いでコップを差し出すと、
彼女も俺にくしゃくしゃになった札のしわを伸ばしながら俺に差し出した。

鉄火がイントネーションのズレた関西弁を使いながら話す
「TIGがさ、『払ろたらええんやろ!』って言って渡してきたよ。昨日はありがとね」
「釣りは貰っておきなよw」

既に回収されていた飲み代を受け取りながら
俺は鉄火の「そういう性格」をまた一つ理解し心温まる気分になった。


昼過ぎにスレにその顛末を報告しながら一つ気付いた。

コップを洗ってないのはマイナスポイントだっただろうか・・・・

       

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