Neetel Inside 文芸新都
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消耗品の補充を終え、俺はいそいそと事務所へ戻る。
そして軽く息を切らせて戻ってきた俺は事務所の入口で向かいの席の娘と鉢合わせした。


「おぅ、お疲れさん」

向かいの席の娘
「・・・・・・(会釈)」

鉄火と何か話でもして居たのだろうか、
にやにやとした笑顔をして出てきた彼女だったが俺の顔を見た途端緊張した顔になる。
色白でアヒルのような薄い口角を
毎日くるくると丁寧に巻いていると想像できる、優しく弾む髪の間から見せ
彼女は帰っていった。


その、どうしようもない愛想のなさが俺はお気に召さないんだよ、向井ちゃん
俺の中で彼女のあだ名は「向井」に決定した。
パーツ的にはプラス面での特徴の多い顔だが、今の俺のお気に召さないという点は否めない。
「無駄な努力、御苦労さま★」
そんな事を考えながら俺は事務所に入る。


鉄火
「おつかれー、今日も残業なの?一人なの?」
事務所の中には工場長はいなかった。すでに帰ったようだ。
鉄火の顔はまだ着替えを済ませていないのもあり、真っ黒に汚れている。


「うん、姉さん上がりでしょ、お疲れっす」

鉄火
「またまたつれない返事だなあ、もっとガブッと来ないの?」

ガブッ!!の妄想を1秒で済ませた俺は作り笑いをしながら答える


「イヒヒ、行きませんww」

自分のことは棚に上げて顔を洗って来い、と言う彼女に500円玉を渡しながら、
それなら自販機で二人分の飲み物を買って来てくれないかと頼んだ。

鉄火
「おっ、ありがと、君はミルクティーでしょ?」


「うん、ってよく知ってんなぁ姉さん」

鉄火
「まあな!情報通がいるもんでww」


「へえ・・」


彼女の言葉の意味を理解せず、また理解しようと考えるのもそもそも面倒なので
俺はそのまま聞き流し、顔を洗いに行った。


事務所に戻ると彼女は向井の席に座っていて、俺にホレッと缶入りの紅茶を手渡す。
俺も向井の向かいの席、つまり自分の席の前に戻ると何故か先ほど渡した500円玉がある。


「あれ?これ?」

鉄火
「あたしのおごりでいいんじゃん?飲もうよ、紅茶だけど」

俺はマンツーマンでの対話にひどく緊張してしまい、
『まだパソコン触る仕事が残ってるんだよ」という顔を鉄火に向けながらIEを立ち上げ
スレ住人に助けを求めた。

       

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