Neetel Inside 文芸新都
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 昨晩延々と「痴漢男」のマンガを読んでいたため、非常に目覚めが悪かった。

「こんな日は早めに帰ってご飯済ませてから御握りしまくって気分を静めるか」

俺はそんな事を考えながら朝食と朝御握りを済ませ、賢者モードで御出勤する。
会社に着くと今日も向井は余所余所しい。全くもって不愉快な女の子だ。

>>向かいの席の姉ちゃんがよそよそしいには以下のどれかだろ
>>1.TIGに何か吹き込まれた
>>2.PC見ながらにやにやしている1が気持ち悪い
>>3.実は1のこと好きで現場のお姉さんに協力を依頼中
>>3なら飲み物の好みの情報源はこいつ
>>それと今度のデートに友達連れて行こうかと言った誘う相手もこいつ
>>4.現場姉さん、TIG、事務姉さんでドッキリ企画進行中
>>(良心の呵責に耐え切れなくなった感じでよそよそしい)

昨晩書かれていた住人の書き込みを思い出し、イラッとする。
「まあ、御握りの具くらいには使ってやるかな、向井君」
そんな蔑視を纏ったような捨て台詞を心で吐き、俺はタイムカードを押す。


始業後、工場に入ると鉄火と眼が合った。
鉄火は俺の方に近づいてくる。今日も豊かな胸だ。是非そのツナギの中に飛び込ませてくれ

鉄火
「おはよ、昨日は本当にごめんね。寒かったでしょ?」


「いえいえ、俺も聞きちがえてたかもしれへん」

鉄火
「へへっ、今日は寒いねー」


「うん、寒い」

鉄火
「今日はみぞれ鍋でもするっかなぁ、小さい鍋あるし」


「ええなあ、俺なんかどんべえや(家に誘ってくれ)」
「(むしろ今度作ってやるよ!なんて言ってくれ!)」

鉄火
「寂しいなあwそれwじゃあね」


「orz」



人間期待すると思い通りに行かなかった時に気分がパンクするので
やはりあまり期待などして人生を過ごしていてはいけないものだ。
今まで通り、今まで通りに何にも期待せずに過ごしていたならば
今こうしているように落ち込むこともなく、
またひょいと舞い込んできたタナボタ的な幸せに狂喜乱舞出来るのだから。


自嘲気味に笑った後、こちらを睨みつけるTIGの視線に気づいた俺は
こそこそと逃げるように事務所へ向かった。



「さて、今日は大したイベントも起きないようだし、コンビニに居るあの可愛い姉ちゃんの顔を見て、
しっかり脳内コピーした後は家で脳内zipを解凍して、御握り祭りと洒落こむかね」

独り言を言うのにも躊躇うことはない。ここはグラインダーの音が鳴り響く鉄工所
誰も俺の言葉など聞こえはしないし、聞こうとする者もいないのだから。


       

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