Neetel Inside 文芸新都
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俺の心は唯一つ
目なんか見れるかっちゅうねん、ここは気付いてない振りしてやり過ごせ
目なんか見れるかっちゅうねん、ここは気付いてない振りしてやり過ごせ
目なんか見れるかっちゅうねん、ここは気付いてない振りしてやり過ごせ
目なんか見れる   ちゅう   、ここは        振りしてやり過ごせ
目    見れる   ちゅう   、ここは         振りしてやり過ごせ
目     見れ    ちゅう   、こしは        振りしてやり過ごせ
目     見て    ちゅう   、こしは        振って やり過ごせ
目     見て    ちゅう   、こしは        振って やり過ごせ
目     見て    ちゅうして  腰は        振って やり過ごせ
目     見て    ちゅうして  腰は        振って やりすごせ
目     見て    ちゅうして  腰は        振って やりす せ
目     見て    ちゅうして  腰は        振って やりす て
                 ・
                 ・
                 ・
                 ・
                 ・
                 ・
              やっちまえ




>>誰が、そんな芸術作品を作れとwwwwww


一度はそういう結論に至ったのだが、やはり俺にはどうすることも出来なかった。
俺は依然目を逸らしたまま
だが鉄火はすぐにその添えようとした手を自身の膝に当て、
苦々しい表情と困った表情の共存したような顔で首を傾げて立ち上がり、元の位置に戻った。

鉄火
「叩いてやろうかと思ったけどやっぱ無理、私は見守ってるよ」

叩こうとしたのか、一瞬でも期待した、期待した俺はいったい何だったのだろう。
いや今の俺ならむしろ殴ってくれ

鉄火
「あと、アンタに隠し事とかしたくないから言うけど、
向井に『凹に冗談でもいいからHに抵抗あるか聞いてみて、女性と経験あるとか耐性あるかとか』
て言われたんだけど、そういうのは私出来ないから・・さ。」


「へ?はあ・・」

鉄火
「じゃあ帰る、ごちそうさま」


「おう・・・」

手早く身支度を整え、鉄火はドアを開け出て行こうとする。
俺は、コレはおかしい、何かがおかしいと思い始める
あれ?俺、試されてたのか?それともあれか、何?ほんとに鉄火フラグ立ってるのか?
それとも本当に向井の差し金か?

だが数々の鉄火の匂わせぶりな言葉よりも
何の変哲もなさそうな鉄火が言った言葉が俺の胸に突き刺さった

鉄火
「アンタに隠し事とかしたくないから」

俺は、自分自身が保身や自分の事だけ考えてた事を恥じ、情けなさに歯を食いしばった。
何が俺は本音で勝負、だ。
もう方向性は変わってしまったが、勢いで聞いてしまおう。


「姉ちゃん!!」

鉄火
「何よ・・」


「こないだ言うてた好きな人って、誰?」

鉄火
「はい?何で凹にそこまで言わなきゃいけないの?ちょっとおかしいよ凹」


「隠し事せんのやろ?」

鉄火
「・・・・・どうせ付き合うなんて無理な人だし諦めてんの!距離離れてるし!」


はい、俺ではありませんでした。
本当にどういううぬぼれでしょうか。
だが俺もそこまで話してくれた鉄火に対して申し訳ない気持ちになって
一つだけ俺がついた嘘について謝ろうと思い、言葉を続ける。


「・・・・バイク、こないだパンクなんてしてないねん、
嘘ついて鉄火姐の家行くの恥ずかしかったから、の、逃れようとしててん。」

鉄火は振り返りこちらを見つめる。今度は俺も目を逸らさない。

鉄火
「知ってたよ。初めて修理したって言う割にはタイヤリム(車で言うホイールのような部分)
に修理の傷出来てなかったもんね。」

それだけ言うと言葉を切り、振り返ってドアを開け放って出て行く鉄火
漏らしそうになりながらそれを見送る俺
ポルポルポルポルーという独特の排気音を響かせて彼女は帰っていった。

頼むからドアちゃんと閉めていってくれ、開け放ってるから北風ピーポー状態ジャマイカ。
俺の失態は一体なんだったのだろうか。
あそこで手出さなかった、いや出せなかったのはそれはそれでいいのだが。
そして落ち込んでいた俺に更なる追い討ちが来る。
しばらくすると向井からのメールを受信したのだ。

向井メール
「今何してます?」

俺メール
「あー、またパ ソ コ ン(笑)どどどどどどっか行く?」

向井メール
「御免!鉄火の友達と一緒に食べに行くねん。また今度二人でどう?メールするわなー」

俺メール
「そっか!じゃあ仕方ねーわな。俺は実家で飯食ってくるわ(笑)」

何もかもが裏目ったというか、昨日と打って変わって何も上手くいかない一日だった。
問題なのは、何が問題だったのか俺には全く分からなかった点だ。俺はどうすべきだったというのか。

明日から会社が憂鬱だ。
その憂鬱というのは、俺のニュータイプ能力が予知能力として発現したものだったのだろうか。
会社に入り、初めての危機に俺は見舞われる。
そして、初めて他人に救われる。

       

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Neetsha