「ふぅ・・・・・・・・・」
「未来タンありがとう・・・・」
自宅で御握り(※1)を終え俺は溜息と共に満足げな感想を漏らした。
この世のすべてを悟り切ったかのような万感の思いと放心状態に浸り、
DVDのケースと中身を乱雑に放り投げる。こんなものどうでもいいただのプラスチックの薄板だ。
俺はジャージを引っ張り上げ、洗面所で顔を洗う。
タオルで顔を拭いながら鏡を見る。そこには潮が引くかのように煩悩が完全に浄化され、
冷静で沈着で脱力もした状態の俺がいた。今日も今日とて賢者顔だ。
食後の御握りを済ませた俺はすこぶるご機嫌だった。
けして本日の御握りの具(※2)が極めて良好だったと言う訳ではない。
今日の会社の終業後のひとときが、俺のハイパー賢者タイムを鮮やかに祝福してくれている。
鉄 火
彼女が好きになったと言う訳ではない。
ただ、CカップとDカップのあいだにある形容しがたいペーソスが
俺の冷静と情熱のあいだではげしく揺れ動く。
「これは煩悩やな、ただの。」
そうつぶやいて俺は本日のミッションをフェイズ2に移行すべく、もう一度ジャージを脱ぎ
放り投げたDVDを拾い上げ、丁寧にケースにしまい込み、本棚の上に乗せる。
代わりに本棚の上からあるものを引っ張りだした。
「未来 すごいカラダの接(ry」
俺は潤んだ目で彼女に話しかける
「よう・・・久しぶりやな・・・未来タン」
後注
※1 御握り・・・・・・オナニーの事。主人公がこの後2chスレにて「オナニー」の代替語として
頻繁に使用する事になる。
住人も次第に「御握り」という単語を使うようになるが、
それはまだ先の話である。
※2 御握りの具・・・御握り(オナニー)の具(ネタ)の事。