Neetel Inside 文芸新都
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会社でお姉さんと仲良くなったのに凹られた
〜超鋼鬼神凹の血のバレンタイン〜

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さて、昨日はとんだ大失態だった。
俺の口から発せられた、「ああ、それはもう向井”とも”付き合いたい」の台詞。
俺のこうなりたいという希望を超越して、俺の口はありもしない方向に向けて俺の人生ベクトルを修正しやがるのだ。


-会社でお姉さんと仲良くなったのに凹られた-
「超鋼鬼神凹の血のバレンタイン」


○昨日は結局向井に「向井とも」発言の後、最低と罵られはしたのだが、それをきっかけに更に会話が盛り上がってしまったのはどういう訳だろうか。

~昨日
向井
「何ソレ?ボコさいってーww」


「あ、ああ、まちがい、向井かな、付き合うなら」

向井
「うわー嘘くっさーいwwもうええwもうええって、私も酔ってるから許したげるわ」


「いやははは、ごめんごめん」

早くも地雷を踏んだ俺はもう既に疲労困憊コンパニオンガール、
向井が言葉とは裏腹にそう不機嫌では無さそうなのでとりあえずその場を取り繕おうと飲み物を取りにキッチンに向かおうとした。

向井
「凹って、女の子とエッチしたことあるん?」

核心キタ、だがしかし俺も一応女の子と、両手に花のデートを経験し会話スキルとこの手の質問のやり過ごし方なら身に付けたつもりだ。
冗談半分、本気半分で誤魔化すのがここは一番だと判断し、即言葉にする。


「さぁ~て、どうげしょうねぇ~?」

噛んだ。童貞発覚乙。

向井は軽く目を丸くし
「経験ないんやね、多分」

とだけ言い俺に笑いかけた。当然の如く見透かされた。何故だ


>>向井さんどストレートですねwwwwwwww


別に俺自身が童貞だという事は恥じてはいないが、改めて発覚すると非常に恥ずかしかった。俺は胸を張って童貞である事を恥じよう。
そんな事を考えていると逆に向井のことが気に掛かる。彼女は経験あるのだろうか。



「じゃあ向井は?いやHな意味で聞くんじゃなくって、その、超好奇心」


>>超wwwwwwww好www奇wwwwwwww心wwwwwwww

>>超好奇心把握した

>>超鋼鬼神wwwwwwwwww

>>適当にはぐらかしてるのは向井視点だとちょっと印象悪いな。
>>恥ずかしくないんだったら「経験"は"少ない」
>>とかでも普通に言えばいいと思うよ。
>>Keepしてるようにしか見えないから、誤魔化さないようにがんばれ。
>>興味持たれてないと思われても仕方ないんじゃないか。
>>そして超鋼鬼神wwwwwどこの新作合体ロボットアニメのタイトルだよww

>>「酔ってるからゆるしたげる」
>>・・・・
>>これって内心向井ショックだよな??
>>ただ、凹という希少生物と付き合ってみたいという
>>好奇心からきた告白ならそうでもないが・・・
>>普通の女の子ならショックだろ。勇気を出して告ってんだから。


向井は超好奇心の単語にウケて俺の質問をはぐらかそうとしたが、一瞬何かを考える様子を見せた後、口を開いた。

向井
「昔の彼氏が初めてやってんけど、それからは一回ももしてない、あんま好きちゃうんやけどねー」

・昔の彼氏が初めての相手だった      ・昔の彼氏と一回だけした
        ↓                       ↓
いっぱいしたけど気持ちいくない          それっきりしてない
        ↓                       ↓ 
分かれてからは一回もしてない            やらせろ
        ↓
       H嫌い


どちらだ。


>>少しは頭を使えwwww

混乱する頭を整理しようとしたところで向井が帰ると言い出したので、俺は整理のつかない頭のまま、彼女を送るために腰を上げた。
帰りの車の中で、俺はごく自然に自分のどこが好きなのかを彼女に聞いてみた。
彼女は外を眺め、こちらを見ることなく、「優しいところ」と呟いた。
更に天然っぽくて超ウケるし、と続けこちらを見て笑いかけた。

俺はやや調子に乗り、顔は?という質問までする。

向井
「味のある顔やねw」

正直喜べはしないが、悪い気はしない。ありがとう向井。
彼女の実家のある住宅街の入り口に着き、車を降りようとした彼女は何かを思い出したように鞄を漁る。

向井
「はいこれ、明日渡したいけど明日はお母さんと映画やから」

彼女は「GODIVA」と書かれた包装紙に包まれた箱を俺に手渡した。


「何これ?」

向井
「チョコ。バレンタイン明日やし。」

俺は彼女の告白の返事もはぐらかしたというのに、彼女はそれでも誠意をもってこのプレゼントを俺に渡してくれた。
俺の誠意は何処にあるというのか。どうやって俺は彼女に誠意を見せる事が出来るというのか。誰か教えてくれ。

>>返事だろwww

向井
「さっきの返事やけど、いつでもええよ。なんとなくやけど即答出来へん理由も分かるから。でも返事まってる。」


「明日お母さんと出かけるの?」

向井
「そうや、久しぶりやもん。お母さんと会うの」


「実家やのに?」

向井
「ん・・・・ほなね。ありがとう今日は来てくれて」

彼女は住宅街に足を向けて歩いていく。
向井に対する疑問がいくつか沸き始めている俺の心に、同時に彼女に対する好意のようなものも芽生え始めているのに俺は気付いた。
何か温かい気持ちで家に帰り、先程まで彼女がもたれていたクッションに顔をうずめ、一息ついた。
果物の香りの様な彼女の残り香に包まれ、さすがの俺もこの晩だけは握ることなくそのまま永眠した。

>>なんとなくわかった
>>・「向井とも」と答える最低男
>>・DT
>>・超好奇心変態

>>超硬鬼神の今後
>>鉄火√→友人(向井)の応援をしている友達想いの姉御肌を貫く猛烈愛情アピールが必要
>>向井√→凹の心の中にほんのりと存在する鉄火への憧れとも恋愛感情ともつかない想いを乗り越えて「俺にはオマエだけだー」アピールが必要
>>友達√→現実的には楽な選択肢に見えるが、煮え切らない男、はっきりしない男と思われ双方ともフェードアウトの可能性有
>>TIG√→アッー!
>>母√
>>ビニ子√
>>さあどうする

おまいさまがた、ありがとう。俺で楽しんでくれて。
だがおまいさまがたの誠意はどこにある。


       

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